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フリーランスの老後 税理士が教える「貯める」ためにできること vol.2 節税しながら、フリーランスが将来に備えられる制度とは?

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将来へのお金の不安を少しでも軽くしたい。そのためにできることを、税理士の視点から考える特集。前編では、節税に対する考え方のアップデート、そして収入の管理方法の見直しについてお話しました。

後編では、「お金を貯めるため」の節税として有用な各種制度を具体的にご紹介します。前回に引き続き、レクチャーしてくれるのは、税理士の日下部寿子さんです。

将来に備えながらできる節税対策の具体例

前回、目ざすべきは税金を安く済ませるための節税ではなく、お金を貯めるための節税だとお伝えしました。将来に備えながらできる節税対策は、ぜひ積極的に活用しましょう。

その節税対策とは主に、共済や私的年金などの各種制度です。代表的なものをいくつか、メリット・デメリット含めて紹介します。

1.小規模企業共済「節税しながら、退職時・廃業時に備える」

簡単に言うと「フリーランスの退職金」となるお金を準備する共済制度です。掛金は月額1,000円〜7万円の範囲で自由に(500円単位)設定でき、支払った掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として全額が所得控除となります。

退職および廃業時に受け取ることができ、満期はありません。積み立てた掛金を一括で受け取る場合には、事業所得に比べて控除額や軽減額が大きい「退職所得」扱いになり、毎年の利益とは別に課税されるので、税負担が軽減されることが多いです。分割で年金として受け取るなど一括で受け取らない場合でも、厚生年金などの公的年金と同様の控除額を考慮した後に課税されるので、税負担は軽減されることがほとんどです。

毎年の節税につながり、退職金の準備ができて、受け取り時も節税になる。これはまさに節税メリット大の制度。あくまで退職金を目的としているので、加入年数が短いと受給金額はあまり増やせません。

また、廃業などの理由以外で途中解約する場合、加入年数によっては元本割れの可能性もあり注意が必要です。それでも入っておいて損はないと考え、私も掛金満額で加入しています。

2.国民年金基金「国民年金にプラス。老後保障のひとつとして」

厚生年金や企業年金の上乗せがないフリーランスは、会社員に比べて将来受け取る年金額が少なくなります。その差を解消し、長生きに備えてできる限り年金額を増やしたいと考える人向きの私的年金制度です。

掛金(給付の型と加入口数)は個人型確定拠出年金と合わせて月額6万8,000円を上限に選択でき、支払った掛金は全額が所得控除となります。受け取れる年金額は加入時期や年齢、掛金によってあらかじめ決まっています。そして、その予定税率は年々低下しているのが悩ましいところ。

ただ、資産形成には不向きであっても節税メリットは大きいので、あくまで老後保障として考えるのであれば加入しておくのもひとつの手です。

3.iDeco(個人型確定拠出年金)「掛金だけでなく運用益も非課税」

加入時期や年齢によってあらかじめ受給額が決まっている国民年金基金に対し、iDecoは受け取る年金額が自身の運用次第で変わる私的年金制度です。自身で掛金を拠出し、選んだ金融商品を運用しながら将来の資産形成を行います。

フリーランスであれば、掛金は国民年金基金などと合わせて月額6万8,000円を上限に、5,000円から自由に(1,000円単位)設定できます。掛金は全額が所得控除となり、運用益も非課税。運用次第では受け取り時に期待以上の年金を受け取ることも可能です。

また、受け取り時は、一括で受け取る場合は「退職所得」扱いになり、年金で受け取る場合は公的年金と同じく一定の控除後の額に課税となるので、小規模共済と同様、税負担が軽減されることが多いです。

ただ、このiDocoには向き不向きがあるというのが私の実感です。金融商品の運用や投資が好きな人にはもってこいの制度ですが、そうでない人にとっては運用自体が面倒になってしまい、資産運用という特徴を活かせないケースも考えられます。自身に合った商品や運用方法をよく考えて検討することをおすすめします。

4.経営セーフティ共済「従業員を雇用する自営業者におすすめ」

取引先の倒産などにより売掛金が回収できなくなった際、その影響によって自身の事業まで経営難に陥ってしまうのを防ぐための保険のような制度です。加入しておけば、もしそのような事態になった時でもスピーディーに融資を受けられます。

掛金は月額5,000円〜20万円の範囲で自由に(5,000円単位)設定でき、支払った掛金は全額が事業所得の「経費」として認められます。その点では税制優遇されていると言えますが、注意しておきたいのが解約時。解約で支払われた手当金は収入とみなされ課税対象となります。また、解約の時期(加入年数)によっては元本割れのリスクも。

基本的にこちらの制度は、従業員への給与支払いや外注費の支払いなどを抱えている自営業者におすすめの制度です。

掛金は途中で調整すればいい。小さな額から始めてみよう

当然ですがこうした制度は、コツコツ続けないことにはお金が貯まりません。続けるためには、無理をしないのが鉄則です。紹介したいずれの制度も途中で掛金を増減することができますので、報酬が少ない月でも支払える程度の、小さな金額から始めれば大丈夫。収入が増えた時に掛金を増やせばよいのです。

迷っているのなら、まずは小さくスタートしてみることをおすすめします。
また、節税効果はそれほど期待できませんが、フリーランスの将来の備えとしては、貯蓄型の保険への加入という選択肢もあります。私も個人年金保険に入っていますが、これは節税狙いではなく、ガツンと年払いしてクレジットカードのポイントを得ることが狙い(笑)。税理士という職業上、繁忙期が決まっているため1年の中で収入が大きくなる時期が必ず出てきます。その収入を毎年個人年金保険の年払いに充て、マイルを貯めて家族旅行するのが頑張った自分へのごほうびであり、ささやかな楽しみです。

備える一方、流動性のあるお金を手元に持っておくのも大切

ここまで、お金を貯めるための節税についてお伝えしてきました。

老後に備えることは大切ですが、ひとつ覚えておいてほしいのが、過剰に備えて仕事のお金をロックしすぎるのは、やめたほうがいいということ。備える一方で、きちんと手元に流動性のあるお金も確保し、それを使って今の自分に投資していくことも長い目で見れば必要です。事業経費の支出用として平均月収の2倍程度を流動性のある手元資金として確保し、残りを「自身への投資に使う」「将来の備えに使う」「自身の給料を増やす」ことに配分するとよいのではないでしょうか。

やってみたい仕事、興味のあることや好きなことに挑戦できるのが、フリーランスの醍醐味です。先々の心配ばかりで、今チャレンジできないとすれば、それは本当にもったいないことです。将来への備えと現在への投資。そのバランスを上手にとりながら「稼げる体質」になっていくことが、結果的に大きな備えになるのではないでしょうか。                

 (終わり)
※記事の内容は、2019年12月現在施行されている法律に基づくものです。

<プロフィール>

税理士 日下部寿子

税理士法人・税理士事務所での8年間の勤務経験に加え、国内生保系資産運用会社の社員として、12年間にわたり、有価証券報告書作成、税務調査及び監査法人監査対応、総務・人事業務などを担当した経験を持つ。2015年、北区赤羽に日下部寿子税理士事務所を開業。会社員経験を活かし、法人・個人事業主の「税務・会計のホームドクター」として、確定申告や相続税に関することから経理に関することまで、幅広く相談を受け付けている。
http://www.kusakabetax.com/

 

(取材/文/イラスト)横山さと (編集)高橋実帆子

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