共働きor専業主婦? 中野円佳さんに聞く、女性の幸せな働き方(後編)

special

仕事は、楽しい。
子どもを産んでも、できれば共働きで仕事を続けたい。
でも、ワーキングマザーの先輩は、いつも時間に追われてしんどそう。
ゆっくり子どもを育てるには、専業主婦になった方がいいの―?

2年半前、パートナーの転勤にともない、シンガポールに拠点を移したジャーナリストの中野円佳さん。
「育休世代」の中野円佳さんが、シンガポールに拠点を移す本当の理由
日本では共働きを続けていましたが、シンガポールでは「駐在妻」として、専業主婦生活も経験したそうです。
そんな自身の体験をきっかけに、最新刊『なぜ共働きも専業もしんどいのか 主婦がいないと回らない構造』(PHP新書)を出版した中野さんに、どうしても聞いてみたいことがありました。

――女性が、心と体に負担をかけすぎず、仕事と家庭を両立していく幸せな働き方は、今の日本で本当に実現できるのでしょうか?

前編へ>>
共働きor専業主婦? 中野円佳さんに聞く、女性の幸せな働き方(前編)

シンガポールで実現した、ちょうどいいワークライフバランス

――編集部(以下、――) 今、中野さんご自身は、どんなバランスでお仕事をされているんですか?
中野円佳さん(以下、敬称略) シンガポールでの生活が落ち着いたころから、ゆるやかに仕事を再開しました。今は上の子がインターナショナルスクール、下の子がローカルの幼稚園に通っている8時半から午後3時半くらいまでの間、自宅で記事や本の執筆をしています。

日本にいたときは、保育園のお迎えぎりぎり、夕方6時ごろまで仕事をして、家事は外注してでも子どもとの時間を作らなくちゃと思っていましたが、今は、子どもが家にいるときに家事をするようにしています。というのも、日中、家事に手をつけてしまうとエンドレスになって、どんどん仕事をする時間がなくなってしまうので。午後3時から、子供たちが寝る8時半とかまで子供に向き合い続けるなんて逆に時間が長すぎて無理です。私が家事をしている間、子供たちは勝手に遊んでいるときもあるし、理想的にはちょっとお手伝いもしてもらえるようにしたい。

――渡航直後の大変な時期を乗り越えて、今はちょうどいいバランスでお仕事をされているんですね。上のお子さんの夏休み期間などは、どうされているんですか?

中野 日本でいう学童保育のような施設もありますが、今は私がフルタイムで働いているわけではないので、長期休みはこうやって親子で一時帰国したりして、過ごしています。ちょうどその期間に日本で仕事を入れられますし。同じインターや幼稚園に子どもを通わせるママ友と、子どもを預け合うこともあります。

シンガポールにて(写真:ご本人提供)

選択肢は2つだけではない

――シンガポールでは、メイドさんを雇って家事を外注することも一般的と聞きます。
一方の日本では、共働きでも家は毎日掃除、晩ごはんは一汁三菜…みたいな目に見えないプレッシャーも大きく、かつ、自分の家に人を入れて家事を外注することにも抵抗を感じる人が多いようですね。
女性が過剰にがんばったり、がまんしたりすることなく、自然体で仕事を続けるのは、今の日本では難しいんでしょうか。

中野 実は今、『育休世代のジレンマ』の執筆の時に話を聞いた女性たちに、再インタビューをしているんです。彼女たちの話を聞いていると、大企業の働き方改革が、少しずつ進んできていることを感じます。東洋経済オンラインでは先日鶴光太郎先生にインタビューさせてもらって「ジョブ型正社員」の導入についてもうかがいました。

――ジョブ型正社員は、働く場所や時間が限定されている社員のことですね。

中野 はい。企業も人手不足なので、ブランクのある人材や時短勤務の方など、さまざまな働き方の人材が、責任ある役職についたり、昇進する動きが出てきています。

正社員でなくとも、たとえばWarisのように、キャリア女性が業務委託で仕事をするという選択肢もありますし、海外駐在の夫に帯同している駐在妻がリモートワークで仕事を続けるケースも、少しずつ増えています。

今はまだ一部の動きですし、正社員以外の働き方の不安定さなど、社会や企業が解決しなければならないこともたくさんありますが、フルタイムで馬車馬のように働かなくても仕事を続けられる選択肢が、着実に増えているのではないかでしょうか。

――それを聞いて安心しました! 中野さんのご著書にもありましたが、夫婦が時期によって役割を入れ替えながら働くというのも、ひとつの方法ですよね。

中野 長く一緒にいれば、転勤や病気、親の介護など、さまざまな時期があります。「大黒柱」を必要に応じて交代することができれば、リスクヘッジになりますし、男性もプレッシャーから解放されますよね。

――働き方の選択肢が増えることで、楽になるのは女性だけじゃないんですね。
最後に、Cue読者へのメッセージをお願いします!

中野 これから結婚や出産を経験する女性には、周りに分かりやすいロールモデルがいなくても、そんなに心配しなくて大丈夫と伝えたいですね。今、社会全体が試行錯誤をしている段階で、選択肢は「専業主婦」と「フルタイム共働き」の2つだけではなくなってきているので。
型にはまった「奥さまイメージ」「お母さんイメージ」に染まる必要もないし、逆に「男並みにバリバリ働く」を目指す必要もない。いろいろな働き方のいいところをうまく組み合わせて、自然体で選べるといいのではないでしょうか。

――肩の力が抜けて希望が持てるお話、今日は本当にありがとうございました!

(終わり)

(企画・取材・文/髙橋 実帆子 撮影/松岡永里子)

自分らしく働きたくなったら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でCueをフォローしよう!

髙橋 実帆子

1980年生まれ。フリーランスライター/エディター。 共同通信社記者を経て、2012年からフリーランスに。 7歳と3歳、元気すぎる2人の男の子の母。 おいし...

プロフィール

ピックアップ記事

あなたにオススメのストーリー