共働きor専業主婦? 中野円佳さんに聞く、女性の幸せな働き方(前編)

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仕事は、楽しい。
子どもを産んでも、できれば共働きで仕事を続けたい。
でも、ワーキングマザーの先輩は、いつも時間に追われてしんどそう。
ゆっくり子どもを育てるには、専業主婦になった方がいいの―?

2年半前、パートナーの転勤にともない、シンガポールに拠点を移したジャーナリストの中野円佳さん。
「育休世代」の中野円佳さんが、シンガポールに拠点を移す本当の理由
日本では共働きを続けていましたが、シンガポールでは「駐在妻」として、専業主婦生活も経験したそうです。
そんな自身の体験をきっかけに、最新刊『なぜ共働きも専業もしんどいのか 主婦がいないと回らない構造』(PHP新書)を出版した中野さんに、どうしても聞いてみたいことがありました。

――女性が、心と体に負担をかけすぎず、仕事と家庭を両立していく幸せな働き方は、今の日本で本当に実現できるのでしょうか?

私は私のおカネでカフェラテを買いたい

――編集部(以下、――) 中野さん、お久しぶりです!
中野円佳さん(以下、敬称略) こんにちは!

――今日はお子さんと一緒に一時帰国中のところ、お越しいただきありがとうございます!
前回お会いしたのは、中野さんがシンガポールに旅立たれる直前でしたね。

中野 そうですね。当時は私自身も共働きのワーキングマザーでした。

――5年前に中野さんが書かれた『「育休世代」のジレンマ』は、バリバリ働いてきたワーキングマザーほど、出産後に仕事を辞めてしまうという現実を取り上げて、社会現象になりました。今回はなぜ、「共働き」と「専業主婦」をテ―マに選ばれたのですか?

中野 きっかけは、シンガポールに引っ越して、私自身が専業主婦の生活を経験したことです。当初は、シンガポールに行った後も、日本の仕事をリモートワークで続けるつもりだったのですが、新居の準備や子どもの幼稚園探しなど、新しい暮らしを立ち上げるのに数ヶ月かかり、なかなか本格的に仕事を始めることができませんでした。

海外駐在が決まった夫と一緒に暮らすため、日本での仕事を辞めて帯同している「駐在妻」がシンガポールにもたくさんいるのですが、私自身がそんな専業主婦の立場になったことで、日本にいた頃とはまた違う景色が見えてきたんです。

写真:ご本人提供

――ご著書の中で「夫に嫌われたら終わり、という不安」「私は私のおカネでカフェラテを買いたい」という言葉が印象的でした。

中野 あくまで私の個人的な思いですが、配偶者ビザでこの国にいられるのは夫のおかげ、生活に必要なおカネも夫頼みという状況は、共働きが当たり前だった私にはかなりつらかったです。共働き時代は、日々必要なおカネを夫と分担していたので、家事や育児についても夫に分担を求めることができましたが、主婦という立場になると、フラストレーションがたまりましたね。

――私も専業主婦だった時期があるので、とてもよく分かります。自分が家事と育児を担っているから夫が仕事に集中できるんだと、頭では分かっているし夫もそう言っているのに、自分の洋服や趣味のものを買うとき、「私のおカネじゃない」という思いが湧いてきて一瞬迷ってしまって。

中野 日本企業にはまだまだ、専業主婦に働き手を支えてもらうという前提で、男性の長時間労働や転勤が組まれています。そんな中、夫は外で働き、妻は家事・育児と役割を分担して、妻が財布の紐を握っている家庭もあります。極端な例かもしれませんが、身の回りの世話を含め、夫に一切の家事をさせないことで、妻に依存させるというパターンも、私たちの母親より上の世代には多かったのではないでしょうか。

――中野さんのご著書にもあった、「旦那さんが自分の靴下のありかもわからないようにして、私がいないとダメだと思わせる」(白河桃子・是枝俊悟『「逃げ恥」にみる結婚の経済学』)作戦ですね。

夫婦が愛情を持ってお互いを信頼し続けられればもちろんベストですが、長い人生、何が起こるか分かりませんよね…

「お母さんみたいにバリバリ働けない」女性たちが専業主婦願望を持つ?

――共働きが一般的になる一方で、「専業主婦願望」を持つ20代の女性が増えているそうですが、なぜなんでしょうか?

中野 これは統計の取り方を含め、「現実は無理だけれど理想として答えている」とかいろいろな解釈があって、一概に増えているといえるのか、見解が割れているところではあると思います。ただ今の30代以上の女性は「専業主婦家庭育ち」が多くても、徐々に20代以下の女性たちには、「共働き家庭育ち」が増えてきているはずなんですよね。

教育社会学などの研究では、どちらかといえば専業主婦家庭で育った女性たちが、母親と同じ専業主婦志望になりやすいという結果もあります。
そんな中、共働き家庭で育った娘たちが、お母さんと同じ働き方を望まないとしたら、やはり、現在の日本で共働きを選ぶのは大変すぎると感じる若い女性が多いのかもしれないですね。

後編に続く>>
共働きor専業主婦? 中野円佳さんに聞く、女性の幸せな働き方(後編)

(企画・取材・文/髙橋 実帆子 撮影/松岡永里子)

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髙橋 実帆子

1980年生まれ。フリーランスライター/エディター。 共同通信社記者を経て、2012年からフリーランスに。 7歳と3歳、元気すぎる2人の男の子の母。 おいし...

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