海の向こうの彼女たち~Adina Weinandさん(30)/ アーティスト/デザイナー

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世界は広い。海の向こうには私たちがまだ出会ったことのない価値観がたくさんあるはず。知ってはいるけど、普通に日本で暮らしている私たちが、海の向こうまで視野を広げられる瞬間ってなかなか…ない。だから、あなたの代わりに海の向こうの彼女たちと友達になってきました。今から、その友達の話をしますね。

 

Adina Weinand(アディーナ・ウェイナンド) /アーティスト・デザイナー

アメリカのミシガン州出身。ベトナムのホーチミンシティー在住(在住歴5年)。大学卒業後、スタジオアーティストとしてニューヨークのオフィスに勤務。後にアジアを中心に旅をしながら旅の記録を残したり、行く先々の人々の暮らしに密着して彼女のアート作品を通して”Storytelling(ストーリーテリング)”をしている。
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――アメリカ出身のアディーナさんがベトナムに暮らすようになるまでの話を教えてもらえるかな?

アディーナ: ミネソタ州の大学(Minneapolis College of Art and Design, in Minnesota)を卒業して、ニューヨークに引っ越したの。昼間はインテリアデザインオフィス、夜はスタジオアーティストとして働いていたわ。
その頃はアメリカ経済の状況が酷く落ち込んでいた時だったから、クリエイティブ系の仕事に就くのはとても大変だったわ。
その後、ハワイに数か月住んで、韓国で英語の先生をしている友人の勧めもあって韓国に行くことになったの。韓国へはアートの仕事ではなく、英語の先生として行ったわ。何か新しいことに挑戦したくて、自分の世界をもっと広げるために色んな所へ行きたかったから。
韓国の亀尾市(くみ市)という田舎の工業地帯の町だったんだけど、物価が高くて気候が余り好きになれなくて長くはいなかったわ。その後、世界の色んな国を旅して今のベトナムに落ち着いてるわ。

 

――どうして会社員じゃなくてフリーランスの道を選んだの?

アディーナ: もう既にフリーランスになって9年になるけれど(パートタイムとの兼業も含め)、私は長い間アート関連のフリーランスの仕事を請け負ってきたわ。フリーランスは、自分のスケジュールやギャラまで自分で決められるフレキシブルな所が好き。
会社勤務は安定していて安心だけど、それよりも自由でいられる事の方が私には重要度が高かったわ。

―アディーナさんのアート作品

子どもの頃から私はアーティストだったし、今までもこれからもアート無しの私なんてあり得ない。だからアーティストとして生きていくことは私自身であるとも言えるわね。
仕事に対するプレッシャーはもちろんあるけれど、自分が情熱を持っている仕事があってとても幸運に思うわ。

 

――フリーランスになるために準備したことってある?

アディーナ: 完全にフルタイムのフリーランスになる前は、パートタイムで英語の先生をしていたわ。最初に4-5か月分の生活費を貯蓄してからフルタイムのフリーランスとして独立したの。
独立するのは不安だったけど、もしフリーランスの収入だけでは足りなかったらパートの仕事をしようと決めたの。でも、やってみたら1か月もしたら仕事も安定的に入ってきて、3か月したらアシスタントを雇うほどになってきたわ!

 

――ベトナムでは今、具体的にどんな仕事を?

アディーナ: 最近のオンサイトの仕事では、大型レストランや企業オフィスの壁画のブランディング、デザイン、ペインティングをしているわ。大きいものは20メートル四方もの大きさで、制作には何日も費やすものもあるのよ。

―アディーナさんお気に入りの作品

その他、ベトナムのレザーを使用したブックカバーの制作、伝統工芸品を用いた雑貨やバックパックなどの制作、ファッション用写真撮影のスタイリング、世界各地の旅のレポートなど幅広い活動をしているわ。

 

――なぜ、最先端のアートを作り出しているアメリカではなくアジアを選んだの?

アディーナ: まず、旅をするのが好きで特にアジアが好きというのが大きいわね。
それに、何かをスタートする時に、アジアの方がアメリカより断然コストが掛からないし、しがらみや規制とかも少ないから新しい事にトライしやすい環境よね。より大きなプロジェクトにもトライ出来る。

―アディーナさんの描くベトナムの風景

あと、海外にいると外国人同士だからか、アメリカ人同士でもライバルでは無くて助けあえる環境なのも良いところね。
そして、私がこういう発展途上国にいる一番重要な理由は、この未開発で粗削りでリアルなところが好きだから。ある意味“汚い”ところにこそ真実があって、人々の温かさとかも感じられる。アメリカでは感じられないことだと思う。

 

――現在のベトナムに長く住んでいる理由は?

アディーナ: ベトナムの気候やライフスタイルが好き。
文化も新しいものと伝統的なものが混ざり合っていて、どこに行っても何か違いを感じられる。ベトナムの文化やアートには、そういうレイヤー(層)やインスピレーションを感じられるわ。

 

――アディーナさんの1日のスケジュールを教えて

アディーナ: 朝は6時から6時半くらいに起きて、7-8時くらいからメールや見積もり書などをチェックするわ。
オンサイトの仕事の時には大体9-5時くらいで1日外で働いているわ。あと、帰宅後にパソコンを使ってロゴデザインの仕事もしているの。
夜寝る前には次の日のTo Doリストを確認するわ。そうすることで、次の朝コーヒーを飲んでいる時には、その日自分がどういう風に1日を過ごすのかちゃんと把握できるからね。
フリーランスは時間のマネジメントが大変と言われるから、私は時間管理のアプリを使ってタスク、クライアントとのコミュニケーション、進捗確認をしているわ。
最初は大変だったけれど、だんだんと自分のペースが分かって慣れてきたわ。

 

――お休みの日は何を?

アディーナ: たくさん寝てる(笑)。あとは映画を楽しんだり、犬と遊んだり散歩したり。
忙しくてもストップしてリラックス&リチャージする時間を作るように心掛けているわ。
この時間は私のワークフローの中で絶対必要ということがだんだん分かってきたの。無理して仕事を詰め込んでも、良いアイディアやインスピレーションは湧かないしストレスになってしまうから。
少しジョギングに行ったりして、自分のクリエイティブなサイドを休ませないと、クライアントに満足してもらえるような自分のベストを提供出来ないのよね。

 

――そんな飾らないアディーナさんが暮らすベトナムのおすすめのランチを教えて

アディーナ: 私の仕事はクライアントの元(現場)で働くことが多いから特定のお店とかは決まってないんだけど、好きな食べ物はタコスね!もちろんフォーも大好きよ!

 

――アディーナさんにとって「仕事」って何?

アディーナ: 私の仕事はStorytelling(ストーリーテリング)!
ビジュアルでストーリーを伝えるの。人の人生、命、パーソナリティー、アイデンティティーを私のアートを通して伝えていく。
それがロゴとか小さなものであっても、その伝えたい人(クライアント)のコンセプトや伝えたい気持ちを汲み取るの。
全ての創作物には命があり、色や形にも意味がある。そこにはコンセプトやストーリーもあるから、それを私が創造物を通して命を与え、表現するの。

 

――今後のライフスタイルのイメージは?

いまはベトナム、シンガポール、マレーシア、香港などの東南アジアでの顧客開拓を固めていて、来年5-6月にはアメリカに戻る計画をしていいるの。
アメリカに戻っても、リモートで働いたり、アジアとアメリカを行ったり来たりする生活をするつもりよ。

 

――Cueを読んでいる働く日本人女性にメッセージを、ぜひ!

アディーナ: 自分自身の情熱の向く方へ一生懸命働いてみて。
柔軟に考えて動いていくうちに、自分の周りにあるものや人たちが必ずあなたの道が開くのを手伝ってくれるはずだから。色んな選択肢を試してみるといいと思うわ。

もし難しい状況になったとしても、思い悩まずそのエネルギーをポジティブな方向に転換させてみて。そうしたら必ずそこには新しいチャンスが待っているから。
より良い方向に進もうとしている時に起こる難題は、より高い所に行けるきっかけになるはず。自分が真剣に真摯に立ち向かっていけば、応援してくれるクライアントは必ずいるから。

 

チャンスを求めて世界中を旅しながらアートを通して命を与えるアディーナさん

自由の国、チャンスの国のアメリカ出身の彼女が、東南アジアの国々をよりチャンスのある場所と言っていたのが印象的でした。先進国には無いものが途上国には溢れていて、その国のバイタリティが彼女のエネルギーやインスピレーションになっていて、それが彼女の活き活きとした表情と素敵な笑顔から伝わってきたのは、きっと彼女の写真を見たあなたも感じたはず。

これからも世界中を旅して、各地でその土地の人々や文化からダイナミックなエネルギーを吸収して、彼女らしい人間味溢れる温かみのある作品を作り続けていくのでしょう。

 

取材・文/小原あゆ 写真/Adina Weinandさん本人提供

 

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小原あゆ

おばらあゆ/フリーライター、翻訳家。1982年、野比のび太と同じ誕生日にパリで生まれ、緑溢れる東京郊外で子ども時代を過ごし、大学時代はアメリカ西海岸に住んで...

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