走り続けるあなたへ 秀島史香より【2】お母さんは笑ってるだけでいいんじゃない?

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仕事・結婚・出産・家事・育児・・・毎日が選択の連続で止まることのできない女性たちの肩の力を抜きたくて、人気ラジオDJの秀島さんにお話を聞くことにしました。早朝生放送のレギュラー番組、ナレーションの収録にコラム執筆など忙しくスケジュールをこなす秀島さん。プライベートでは7歳の女の子のお母さんで、私たちと同じワーキングマザー。なのに、こんなに軽やかなのはなぜなのでしょう。

―走り続けるあなたへ 秀島史香より

第1回 嫌なことは紙に書いてポイ
第2回 お母さんは笑ってるだけでいいんじゃない?
第3回 とても基本的なことをお伝えします

 

両立のコツは「無理をしない」こと

(びっしり書き込みされた、秀島さんの手元の資料を見ながら)
――今日の取材のために、こんなに準備をしてくださったのですね。ありがとうございます。DJやナレーターのお仕事は、準備や下調べにもたくさんの時間がかかりますよね。どうやって、多忙な仕事と育児を両立してこられたのですか?
両立のコツは、何といっても「無理をしない」ことです。若いときって、仕事に対しても理想が高いから、10やれば十分のところを、つい15を目指してしまうのですよね。
もちろん、頑張ればその分だけ仕事の「筋肉」がつくとは思いますが、ハードルを上げすぎて自滅してしまったら元も子もありませんよね。


――よく分かります! それほど必要のない資料を、やたら凝ったデザインで深夜まで作ってしまって、肝心の会議中に眠気と戦ったり…
特に子供が生まれたら、「やることリスト」ではなく、「やらなくていいことリスト」を作るといいですよ。家事には終わりがないですから、完璧を目指すとどんどん苦しくなります。

たとえば夫のシャツのアイロンがけひとつとっても、無理をしてがんばりすぎると、自分の中で、「こんなにしてあげているのに」と行き場のない気持ちが大きくなります。もしかすると、相手は「そんなに大変なら、アイロンなんてかけなくてもいいよ」と思っているかもしれない。

それなら、アイロンを「しないことリスト」に追加するために、しわが味わいになるリネン素材のシャツを買ったり、形状安定シャツも日々進化しているので試してみたり、しわになりにくい柔軟剤を使ったり・・・工夫できることがいろいろあるかも。

完璧じゃなくても、機嫌のいいお母さんでいられるように

――発想の転換ですね。がんばらなくて済む方法を考える。
そうです。たとえばロボット掃除機のルンバや食洗器。贅沢だという人もいるかもしれないけれど、洗濯機が出始めた時代もそうだったのかもしれない。

機械によって解放される家事があるのなら、心の余裕、自分の時間を作ってくれるものに、どんどん投資したらいいと思います。全部自分できちんとやろうとするから無理が生まれるのではないでしょうか。

夕飯だって毎日違う献立じゃなくてもいいじゃないですか。今日も明日もカレーだって、子供は喜びます。

――部屋が散らかっていても、ホコリが落ちていても、命にはかかわらないですからね。
私、『○○しなくても死なない』ってその言葉大好き!(笑)

――日本では、「お母さん」に完璧を求める傾向があると感じます。
お母さん自身が自分を責めて、追い込まれてしまうのですよね。
職業柄、人が集まる場所へ行くと人間観察をしてしまうのですが、たとえば旅行先でも、家族で来ているのにみんなで携帯をいじっていて全然会話がなかったり、お母さんがイライラして、些細なことで子供を叱っている姿を見ると切なくなります。疲れているのかなあって。

一方で、お母さんがニコニコしていると、家族の間でも自然に会話が弾んだりします。家庭の雰囲気って、お母さんが握っている部分も大きいと思うのですよね。

 

――洗濯物を畳めなくても、晩ごはんのおかずが一品少なくても、お母さんが笑顔でいることの方が、子どもにとってはきっと嬉しいですよね。

自分の中の「昭和のおじさん」に気づく

――DJのお仕事は、収録が深夜や休日になることも多いと思うのですが、そんなときはどう乗り切ってこられたのですか?
実家の母や家族ぐるみで仲良くしている友人に頼ることもありますし、ナレーションの収録に、娘を連れて行ったこともありますよ。
小学生になって、本を読んだり、お絵描きをしながら、私の仕事が終わるのを待っていられるようになりました。番組スタッフはもちろん、番組のゲストさんも、スタジオにお子さんを連れてきたりしています。お互い皆で、子どもに声をかけたり、お菓子をあげたり、遊んだり。

―わあ、素敵な職場ですね! そういう会社が、どんどん増えていくといいなと思います。
私自身も、子どものころ、父の職場に連れて行ってもらった記憶があるのですが、親が働いている姿や場所を見ることって、子どもにとって特別な経験になると思うんです。

「仕事って大変。つらそう」というよりも、大人たちがてきぱき仕事をしている現場を見ることで、「仕事ってかっこいい。大人になるって楽しそう」と感じてもらえたらいいなと思っています。

―ー子どもたちに「働く大人」を身近に感じさせたいと思いながらも、仕事の電話に子どもの声が入ったり、家で子どもの面倒を見ながらの作業は、公私混同させてると思われるんじゃないか…と勝手に自分を縛ってしまう自分もいます。
分かります。軽やかに、自然に子どもを連れて職場に来ている人を見ると、逆に自分の考えがガチガチに固まっていたことに気づかされますね。
さらっと子どもの話をする姿が何だか新鮮でまぶしく見えて、「あれ、自分の中にも、固定概念に縛られた昭和のおじさんがいたのか」って(笑)

そういう意味でも、さまざまな業種の、いろいろな働き方をしている人に会って、新しい価値観に触れることは大切ですね。正解は決して「ひとつ」ではありませんし。

第3回に続く)

秀島史香さんプロフィール
ラジオDJ、ナレーター。1975年、神奈川県茅ケ崎市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。大学在学中にラジオDJデビュー。Fm yokohama『SHONAN by the Sea』(Sun.6:00-9:13)、JFN各局『Pleaseテルミー!  マニアックさん。  いらっしゃ〜い!』、NHK Eテレ『デザイントークス+(プラス)』(Tue.23:00-23:30)などラジオ、TVナレーションのレギュラー出演の他、美術館の音声ガイド、機内放送、渋谷『ヒカリエ』館内番組(日英)なども。あたたかい人柄とフリートークが、クリエイターからリスナーまで幅広く人気。
著書『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則(朝日新聞出版)』では、自身の経験や多くのゲストと対談するなかで見つけた会話のコツを紹介。学生から社会人まで、幅広い年代・職種の方に支持され、重版を続けるロングセラーに。
オフィシャルサイト:https://fmbird.jp/dj/fumika_hideshima/
ブログ:https://hideshima.blog.so-net.ne.jp
twitter:@tsubuyakifumika
instagram:@hideshimafumika

取材・文/髙橋実帆子 撮影/持田薫 編集/中野麻衣(Cue編集部)

 

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Cue 編集部

さまざまな女性たちの生き方を紹介するライフストーリーメディア。 変化を受け入れてしなやかに生きる彼女たちの物語が、ほかの誰かにとって小さなきっかけ、「はじま...

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