フリーランスのプロ人材を積極的に登用している企業の経営者や人事担当者は、どんなきっかけでフリーランスを採用し、どんなメリットを感じているのでしょうか。

今回は、株式会社ガイドデントの代表取締役社長 石井貴久さんにお話をうかがいました。

Q フリーランス人材を利用し始めたきっかけについて教えてください。

 

弊社は歯科医院が行うインプラント治療や審美歯科治療における第三者の保証機関です。現在社員数12名で、若手の20代の営業マンが中心のベンチャー企業なのですが、新しい事業の柱を持ちたいと考えつつも、私自身が経営判断を下しつつ、それを進めていかなくてはならないため、やりたいことを思うように進められないもどかしさを常々感じていました。

 

ガイドデント様HPより
ガイドデント様HPより

 

もちろん社内には優秀な社員が揃っていましたが、彼らは営業のプロフェッショナル。一方、自分がそのとき求めていたのは、1200軒のお客様に対して、どこにどのような提案をするかという営業企画的な仕事を、経営者目線でできる人材でした。

 

とはいえ、そんな人材をどこでどうやって探せばいいのかもわかりません。コストもかかるので、人材探しに踏み出すまでに2年も悩んでいました。

 

そんなとき、Waris共同代表の米倉史夏さんとお話しする機会があり、そこでフリーランス人材を活用するという方法があると聞いて、とても興味を持ちました。それから、プロフェッショナル人材の委託を行う企業数社に打診して、求める人材を提示してみましたが、そこでは見つかりませんでした。

 

そして、あらためてWarisさんに声をかけました。提示した条件は、「新規事業に立ち会ったことがある人」「医療に詳しい人」「自分で判断して動ける人」。このオーダーは、正直難しいのではないかなと思っていました。

 

そこでやってきたのがOさんでした。彼女は大手企業で新規事業にかかわった経験もあり、医療関係の情報にも接していたため、まさにぴったりの人材でした。

 

さらに素晴らしいと思ったのは、自分の得意分野を初めから明示したことでした。私が会社の全体像を伝えると、その場で「私にはこことここができます」と言ったんです。この人は自分のことがよくわかっている、できる人だと感じましたね。それで、まず3か月トライアル期間を設けて、業務委託契約を結ぶことにしました。

 

 

Q 経営者目線のあるOさんが参画することで、どんな変化が起きましたか?

 

私は「新しいことをしなくては」と焦っていたのですが、Oさんがきたことで、本業にまだまだ伸びしろがあるからそこに力を入れようと気づくことができました。

 

トライアル期間は2017年の9月からの3か月でした。この3か月の期間は、現状把握と会社の強みを考えることがテーマで、2週間に1回打ち合わせを行い、Oさんが課題を設定して共有するという流れです。

 

私は彼女とのヒアリングを通じて、事業の柱を作りたいと考えていました。やりたいことがたくさんあったので、自分たちの強みは何なのか、いくつもあるアイデアの中で今後の柱になるものは何か、などをOさんに分析してもらいたかったのです。

 

すると、話を最後まで聞いたOさんは「既存事業はまだまだ伸ばせますよ」と言い、改善案を提示。「私にできるのはこの部分です」と、自分のできることを明示したんです。

 

 
石井貴久社長

 

今思えば、私には焦りがあったのでしょう。いろいろ手を付けようと、あれがやりたい、これもやりたいと言ったのですが経営者の目線を持つ彼女の改善案を見て、今は本業に力を入れようと舵を戻しました。現在は、1200軒の既存顧客をアクティブ化させることが目標です。

 

Oさんはあくまでも外部の人。もともと物事に対して非常に客観的な目を持っているため、いい意味でドライです。私は内部の目線で会社を見ているため、外の意見が欲しいと考えていましたから、Oさんのドライで、スパッとした物言いが大変好ましく感じました。

 

Q フリーランス人材の起用は初めてだったと思いますが、そもそも営業以外のメンバーがいない会社ということで、社内のメンバーとの協調はうまくいきましたか。

 

むしろ、彼女と私のやり取りを面白がって見ているんじゃないかな(笑)。今までは社長と社員しかいなかったけれど、第三者的な視点から社長と話をしている人がいることで、社員も意見を言いやすい風土ができつつあります。

 

年明けからは、Oさんは本格的に事業にかかわることになり、メンバーとのミーティングにも参加してもらっています。

 

既存の取引先の活性化プロジェクトを立ち上げ、社員のなかからプロジェクトリーダーを決めて、Oさんには企画アシスタントとしてプロジェクトの設計をサポートしてもらっています。2月以降はプロジェクトのモニタリングをお願いし、プロジェクトリーダーと定期的にやりとりして、進捗管理にも携わっていただいています。

 

一流企業で仕事をしてきた人は、やはり一定のノウハウを持っているものです。こうした人材に社員が接することで、学べることもたくさんあるのではないかと思います。

 

たとえば、今まではあらゆる方針に対して、社長の私が考えて私が決めるということが多かったのですが、プロジェクトが始動してからは、プロジェクトマネージャーが考えて決める機会を、Oさんが主導して作ってくれています。学べることもたくさんあり、社員の成長のきっかけにもなっているのではないでしょうか。

 

 

Q 総合職系フリーランス女性の活躍についてどう思いますか?

 

女性の場合はライフイベントなどで正社員を辞めることもありますので、そういう人が優秀なフリーランスになっているのではないかと思いますね。

 

フリーランス人材の活用の最大のメリットは、自分の会社のオーダーにあった人が来てくれるということでしょう。

 

ベンチャー企業にとって、採用活動は本当に大変です。Oさんのように、大企業出身で、多くの新規事業をこなすことで経営者目線を得てきた人材は、実際非常に少ないと思います。当社の場合は医療知識も必要ですから、さらに高度な人材が必要です。このレベルの人を採用するのは本当に大変で、文章だけで書かれた求人サイトでは到底わからず、人材紹介企業を利用すると、先方にしてみれば採用が決まった時にインセンティブがつくため、合っていない人材でもなんとかマッチングさせようとするところが正直あります。

 

Warisの場合は、契約後に月々のフィーがかかる形なので、うまくいったということもあるでしょう。

Warisリクルートコンサルティング蟻川と
Warisリクルートコンサルティング蟻川と

 

また、自分たちに必要な人材がどのセクションなのかよくわかっていなかったので、総合職系フリーランスとしてマルチな分野の仕事がわかる方が来てくれたのは大変助かりました。

 

やるべきことは明確でも、いざ採用しようとなると、仕事内容がマーケティングなのか、営業企画なのか、それともセールスなのか、セクションが決まらないと、求人サイトや人材紹介の会社では探せないんですよね。

 

今動いているプロジェクトは既存の取引先の最適化が目的で、最低あと半年はかかると思います。ですが、もし可能ならそのあと新規事業立ち上げのプロジェクトを始動させたい。今後3年かけて、事業の柱を作っていくつもりですが、これからもぜひOさんにいてほしいと思っています。

 

取材・文/相馬留美  撮影/Cue編集部

株式会社ガイドデント

「患者さまが安心して治療を受けられる環境づくり」を掲げて、インプラント保証事業をはじめとした歯科医療機関や歯科関連企業向けの事業を展開。『インプラント10年保証』は全国の主要都市にあるガイドデント認定歯科医療機関で「保証書」が有効となる業界唯一のインプラント保証として、全国1200軒の歯科医院に導入されています。

本社所在地:東京都渋谷区

ウェブサイト:https://www.guidedent.net/

 

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