5月22日(火)、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会主催による「フリーランスを法律で保護って本当ですか?」が永田町のシェアスペース「NagatachoGRID」で開催されました。今回のレポートでは、イベントの第3部に行われた、様々な分野で働くフリーランサーたちのリアルトークを、ダイジェストでお届けします!

増えるフリーランス人口、法制度は追いついている?

働き方の多様化に伴い、フリーランスで活躍する人も増えています。フリーランスという働き方は、経済的に常に不安定です。また、公的な保護や援助の面で、雇用者と比べ、劣っていると言わざるをえません。「自由と引き換えに自分が選んだ働き方なのだから、リスクはあって当然」「守ってもらえると思うほうが甘い」という風潮も強いのが現状です。

 

しかし、高齢化もあいまって、フリーランス人口は今後ますます増加する見通し。政府の中でも、独禁法と労働法によるフリーランスの保護政策がはじまっています。今回のイベントにも参加希望者が殺到し、80名の定員を20名増員するほど。その8割がすでにフリーランスで仕事をしており、2割がこれからフリーランスで食べていきたいという方々です。

 

どう防ぐ? 契約トラブル

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パネラー

・城みのりさん(マーケットリサーチャー)

・北 健一さん(ジャーナリスト/出版労連書記次長)

・平田麻莉さん(PRプランナー/フリーランス協会代表理事)

・芳賀彬さん(システムエンジニア)

モデレーター

・浜田敬子さん(ビジネスインサイダー 統括編集長)

城みのりさんは、育児休暇取得後、1年4か月会社員として勤務したものの、限界を感じてフリーランスに転向。現在は、18名のフリーランスを束ね、委託業務を分業化して行う働き方をしている女性です。「チームを組んで仕事を受けるという方法は、フリーランスとしてうまくいくコツのひとつとしておすすめ」と言います。
浜田さんから「フリーランスは仕事がなくなるのではという危機感などから、仕事を頼まれえると断れない、会社員時代よりもどんどん忙しくなってしまう傾向はないか」との質問について、城さんは、「仕事を断ることはないけれど、ワークライフバランスができて、むしろ働きやすい」と回答。

 

しかし、「一度、契約書が戻ってこないまま業務を遂行してしまい、トラブルになったことがあります。それ以降、“やってみないと見積もりが出せないから、とりあえずやってみて?”というようなざっくりとした進め方をされる場合や、こちらからの質問に対しての返答がないなど“嫌な予感”がするときは、残念ながらお断りする場合も」とも。

 

一方、エンジニアの芳賀さんは、企業での分業化が性に合わず、全体を見通せる仕事をしたいとフリーランスに転向した方。彼の場合も、フリーランスのエンジニアの方々とチーム体制を組んでいて、城さん同様、「基本的に仕事は断らない」そう。「仕事的な技能ではなく、個々の性格やキャラクターによって、合う業務とそうでない業務もある。でも、チームを組んでいれば、自分には苦手な発注でも受注して分かち合える」というのも、仕事を断らなくてもいい理由のひとつ。

 

それでも、「案件の内容と金額のバランスをみつつ、“悪い予感”がしたら、一歩引く」と回答。城さん、芳賀さんからでた「不穏な“予感”」発言に、参加者も思い当たるフシがあるのか、会場に小さな苦笑いの声があがりました。ワークライフバランスを図るためには、受注の段階での判断が重要なようです。

 

また、「納品ベースで作業をするフリーランスは定時がなく、長時間労働になりやすいと思われるが、労働時間の管理はどのようにしているのか」という質問には、城さんは、「業務時間は8時半から17時半までと自分で決め、その前後に育児をしている」との回答。家事については「アウトソージングも活用している」そうで、「私自身の現在の働き方は、プライベートと仕事がシームレスになりつつあるので、キャパシティの見極めは常に必要」と回答されていました。一方、芳賀さんは、「むしろ会社員時代のほうが、自分に裁量の権限がないため、長時間労働だった」と発言され、会場を沸かせます。

 

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セーフティネットがない! フリーランスの実態

フリーランスの保護については、パネラーの方々の中でも議論がありました。

 

たとえば、フリーランスの休暇や所得補償。これを誰に補償させるのか。フリーランス協会代表理事 平田麻莉さんによると、フリーランスに法的保護の動きがあるという記事がネットに上がった際、「会社員は社会保障をうけるために会社に縛られ、忍耐をしている」「フリーランスは自由を求めてしかも守って欲しいというのは甘えだ」など、批判的なコメントも多くあがったそう。それでも、「たとえば、フリーランスや経営者の44%が、産後一ヶ月で復帰しているという実態がある。母体保護の観点からも危険なのでは」「命に係わる保護は重要なのではないか」と指摘。

 

北健一出版労連書記次長も、「第2部で厚生労働省の永倉さんがおっしゃっていた通り、フリーランスにはいろいろな実態がある。社員にかなり近い形で働いている人から、プロフェッショナルで働いている人もいる。必要なのは、それをグラデーションで捉えること。自由と保護は対立すると考えがちですが、セーフティネットは、自由な挑戦に必要なもの。保護があるからこそチャレンジできる」とフリーランスの法整備に期待を寄せます。

 

そして、ビジネスインサイダー浜田統括編集長は、「今の30歳前後は就職氷河期の真っ只中。本当は就職したかったのに、はからずもフリーランスという道を選ばざるを得なかったという人も多い。その中には、優秀な人もおり、私自身、編集部で一緒に仕事をしていると、本当は社員にしてあげたい、でも、会社的に厳しいという内情もある。たとえば、海外出張にフリーランスの方をキャスティングしても、雇用契約違反になるという理由から、会社では保険をかけることすらできない。これは、一緒に仕事をするメンバーとして不平等なのではないかと感じるし、法整備がしっかりしていればと思って止まない」と思いをフリーランスに業務委託する側として、心情を吐露してくださいました。

 

いざという時のために、自分自身で何ができるか?

一方、城さんは、「契約の履行確保やハラスメントなどを含むトラブル対策は、顧問弁護士をつけたり、組合をつくったりすることでもフォローは可能です。私も、業務委託契約書のチェックなどのために、個人で顧問弁護士をつけていますが、月に3万円程度です。感情的な部分はおいておいて、保険などについても、自身で入ればいいのではと思う。なので、この部分については、私自身はそこまで緊急性を感じてはいません。ただ、フリーランスはスキルアップも自己責任です。会社員の人であれば、助成金がもらえる。私も、会社員時代、雇用保険の補助があるときには、MBA取得にチャレンジできましたが、フリーランスの今では、100万円、2000万円といった高額な自己投資は正直厳しいんですよね。自己投資を経費として認めるなど、そこはなんらかの仕組みがあってもいいのでは、と思います」。
それを受けて北健一出版労連書記次長は、「法律があります、裁判できます、よかったね、とはなりません。今、必要なのは、どういう働き方をしていても、もう少し幸せに生きられないか、という発想」と参加者に助言。「人生100年時代と言われるなかで、65歳以上、ほぼ全員がフリーランスになるといっても過言でなない。自分の生業をつくっていくというのは必要。ライフイベントキャリア、ステージに応じて働き方を選択しやすい社会になってほしいと思う」と結びました。

 

フリーランスの法整備は、これから始まろうかといったところ。その動向を見守りつつ、自身も共助の仕組みでサポート態勢を構築し、セーフティネットを張り巡らせる発想が必要です。自分の働き方に何が不足していて、それを満たすためにどう対処すればいいのか。フリーランスの働き方向上に、自分で何ができるのか、改めて考える機会にもなりました。

 

取材・文・写真/簗場久美子(Cue powered by Waris編集部)

 

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