新緑が青空にまぶしい5月中旬。一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会ランサーズ株式会社株式会社Waris日本政策金融公庫による合同プレスセミナー「フリーランスの多様な実態〜4社調査比較〜」が開催されました。

当日は、各社によるフリーランスの実態調査を報告した後に、専門家を交えたパネルトークを展開。トーク参加者の多くが2018年現在、フリーランスに大きな波がきている所感について触れ、このビッグウェーブを「フリーランス2.0時代」と表現。

今回のレポートでは、セミナーのなかで特に多出したワード、フリーランスである記者自身にとって印象的であったワードをピックアップしてみたいと思います。

参加者プロフィール

  • 石山恒貴 氏(法政大学大学院政策創造研究科 教授)
  • 中西穂高 氏(日本テレワーク学会副会長 / 帝京大学教授)
  • 河合優香理 氏(一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会
  • 曽根秀晶 氏(ランサーズ株式会社 取締役)
  • 小崎亜依子 氏(株式会社Waris / Waris Innovation Hub プロデューサー)
  • 小池俊太郎 氏(日本政策金融公庫 国民生活事業部 東京創業支援センター 所長)

ファシリテーター

  • 平田麻莉 氏(一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会

各社レポート

 大副業&複業時代がやってきた!

まずひとつ、とにかく目立って多出したワードが「副業」でした。

フリーランス協会の調査では、調査対象の会社員のうち41.8%が副業に意欲的であり(※1)、働き方の改善策として転職(31.2%)よりも副業を考える人のほうが多いとわかりました。

※1「Q.今の働き方をより良くするために考えていることは?」の「副業(現在の仕事を続けつつ、副収入を得るための活動)」項目に対し、「具体的に考えている」と「いつかはしたいと考えている」と答えた人の合算数に基づく。
フリーランス白書2018より|Freelance Association Japan © 2018

 

ランサーズの調査では副業の経済規模にも注目。3年前と比較して、副業人口(※2)は533万人から744万人に、経済規模は2.8兆円から7.8兆円にまで増加しており、副業・パラレルキャリアが生む経済効果のポテンシャルを感じさせる結果となりました。

※2「副業系すきまワーカー」と「複業系パラレルワーカー」の合算値に基づく。
【ランサーズ】フリーランス実態調査2018年版より

そして企業の副業解禁が話題になる中で、「送り出しはできても、(副業として働きたい人材を)いかに受け入れるかまでは関心が薄い」という指摘も出ました。

 

外部リソースの活用に舵をきれる企業が生き残る

そこで2つ目のキーワードとして挙げたいのが「企業のイノベーション」です。

 

Warisが今回調査対象としたのは、“変革型フリーランス”と呼ばれるタイプ。この“変革型フリーランス”とは、外部リソースとして企業に入り、企業と対等な関係で、組織改革やイノベーション創出の媒介としての役割を果たす存在を指します。

株式会社Waris「変革型フリーランス実態調査」より

変革型フリーランスについて中西教授が「企業ひいては社会を変えていく原動力のひとつになるのではないか」と期待する一方で、そうした外部リソースの受け入れを企業側はまだまだ苦手としている現状も議論にのぼりました。


▽中西教授(日本テレワーク学会副会長 / 帝京大学)
“自社だけに忠誠を尽くしてほしいという精神がもともと日本企業には染み付いている。ところが今はもう多様な視点なしに企業の成長は厳しい。経営者の意識改革が非常に求められている”

 

▽石山教授(法政大学大学院政策創造研究科)
“今後は企業でもプロジェクト型の働き方が増えていく。オープンイノベーションが求められる中でいかに上手に外部の人材を起用していけるか一刻も早くその方向に舵をきり、業務改革できる企業こそが勝っていくのではないか”

 

▽小崎氏(株式会社Waris / Waris Innovation Hub プロデューサー)
“今後は、むしろフリーランスに選ばれる企業になることが求められるのでは?”

パネラーの様子。中西教授(右)、曽根氏(中)、小崎氏(左)

 

働く人間が成長するためには“越境慣れ”が重要

続いて、論点となったのが現状の働き方に対するエンゲージメント興味関心について。日本政策金融公庫の小池氏は、「近年は起業の動機が多様化してきた」と感じており、調査では、フリーランスは「現在の働き方を続けていきたいと考えている人が多い」ことがわかったと報告しました。

小池氏
日本政策金融公庫・小池氏

 

また、フリーランス協会の調査における「現在の働き方を維持・成功させるうえで重要なことは?」という問いに、フリーランスが様々な能力や資質を重要であると挙げたのに対し、会社員は総じて重要性が低く出る結果に。唯一会社員のほうがポイントが上回ったのが「忍耐力」であると発表された際には、会場全体が複雑なムードに包まれました。

 

フリーランス白書
フリーランス白書2018より|Freelance Association Japan © 2018

 

そんな中で出てきたのが「越境的学習」というキーワード。越境的学習とは、会社等の所属している組織の枠を越境して学びの場を求めることを意味します。

参考:越境的学習のメカニズム 実践共同体を往還しキャリア構築するナレッジ・ブローカーの実像(石川教授著)

 

大手企業でもその重要性は少しずつ理解され始め、越境学習の機会を作る、あるいは社内ダブルジョブを導入する企業も増えてきているとのことでした。


▽河合氏(一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会)
“働き方のエンゲージメントを高めるために必要なのは、社外での活動”

 

▽石山教授(法政大学大学院政策創造研究科)
“会社員時代から、自前の勉強会やNPO、プロボノ活動、社会人大学院など社外のコミュニティに参加し“越境慣れ”することが成長の要であり、将来的にフリーランスとして働きたい人には特に重要

 

フリーランスは経営化、チーム化していく

 では、すでにフリーランスとしてエンゲージメント高く働いている人は、現状維持で果たしてよいのか? という点。フリーランスの展望と絡めてさまざまな意見が出る中で、フリーランスに必要な自己研鑽、フリーランスの「キャリア形成」というキーワードが挙がり、フリーランスが意識すべきこと、必要な視点、またフリーランスがチーム化されるメリットについて期待を寄せました。


▽平田氏(一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会)
会社員時代の杵柄(きねづか)を使い続けているだけでは、すり減っていくだけそこを意識する必要がフリーランスにはある」

 

▽曽根氏(ランサーズ株式会社 取締役)
「今後はフリーランスが株式会社のようになり、経営としての観点がより必要になってくる個人が経営化し、企業がそこをパートナー化していくのではないか」

 

▽河合氏(一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会)
「これまで“ピン芸人”のイメージだったフリーランスも、今後は横のつながりが重要になってくる。フリーランス同士がひとつのチームを組むことで、より大きな仕事を請け負えるようになるのでは」

氏
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会・河合氏

 

「未来を考えると“雇用orフリーランス”という二極ではなくなり、働き方が融合し、協同的な仕事が中心になっていくのではないか。今のフリーランスの働き方が、そのような時代を迎えた時に雛型になっていくのではと考えている」と、石山教授。

 フリーランスが働き方の選択肢として社会に定着し、企業の原動力として認識されていくのも、そう遠い未来じゃないのかな? そんな可能性を感じる、まさに2.0時代の幕開けにふさわしいセミナーとなりました。

 

取材・文/横山さと(Cue powered by Waris編集部) 写真/イベント主催者提供

 

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