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薄井シンシアさん|スキルより必要なもの―ブランクを経て働くということ。

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「この子を育てあげることが今の私の仕事だ」と直感し、28年前、仕事をやめて専業主婦の道を選択した薄井シンシアさん。17年間のブランクを経て、“給食のおばちゃん”として再出発した後、5つ星ホテルの副支配人を務めるまでにキャリアアップを続けてこられました。自分で選択した道を後悔しない生き方、あきらめない生き方・・・シンシアさんのメッセージを3回にわたってお届けするこの連載。2回目は、自身のステップアップの方法を振り返りながら、ブランクを経て働くために大切なことを教えてくださいました。

薄井シンシアさんインタビュー

第1回:後ろ髪を引かれない生き方、していますか?
第2回:スキルより必要なもの―ブランクを経て働くということ。
第3回:先ばかり見ない。今、あなたの目の前にある可能性に気づいて。

― 47歳で再就職された後、バンコクのカフェテリア、ANAインターコンチネンタルホテル東京、5つ星ホテルと、マネージャー職を極めてこられましたね。

バンコクで“給食のおばちゃん”として再就職し、スタッフの教育やサービスの改革を任されるまでになりました。その後日本では電話受付の仕事から再スタートし、ここまでやってきました。大変な思いもたくさんしたけれど、もしも明日ホテルを建てて人を集めなければ! ということになったら、すぐに人を集める自信がありますよ。マネージャーとしては、そう断言できることが何よりも誇りです。うちの娘に言わせれば「もし私がママの部下になったらめっちゃ恐い」らしいですけど(笑)。

 

― 再就職からのキャリアアップが素晴らしいですが、うまくステップを上がっていくための秘訣はありますか?

仕事に限らず何においても、私は「土台とプロセス」を重視する人間です。自分の力をきちんと把握して、その段階でできることをまず着実に実行する。それを達成したら次のステージ、そしてまた次、ということを続ける。土台とプロセスを大事にしながらコツコツ実績を作っていくことが大切だと思っています。

 

― 土台を丁寧に構築しながら、実績を積んでいくのですね。

そのためには、大きな夢ばかり見るのではなく、現実的に結果を出せることに取り組むのもポイントです。娘にも常々「自分の環境をよく見極めてからやりなさい」と言ってきました。ですから、彼女が高校で生徒会長に立候補した時のスピーチはおもしろかったですよ。「私はみなさんと同じ高校生ですから、こういう(大きな)ことはできません。でも、これとこれは達成します」と。

私も今、働き方改革の一環でさまざまな企画をいただくことがありますが、何年やっても結果が出せない非現実的なことには参加しません。自分のできることから取り組んで、ひとつずつ実績を作っていくのが私のポリシーです。

 

― 育児を終えた主婦に限らず、一度仕事を離れたけれどまた働きたいという子育て世代の女性も増えています。ブランクを経て働く際の心構えは何でしょうか?

それはもう、1に忍耐、2に忍耐、3に忍耐です。みなさん復職する際ってスキルをすごく気にされますよね。それで、慌てて勉強したりしますよね。でも、ビジネスの視点から言わせてもらうと、どんなに勉強していても、ブランクのある人にいきなり大事な部分を任せることはできません。ですから、まずはエントリーレベルの仕事を必死にこなすこと。「そんなこともできないの?」と言われてもぐっと耐えて、与えられた業務を完璧にできるようにする。すると3ヶ月もすれば、求められた10のうち5はできるようになり自信もスキルも少しずつ取り戻せます。

― 子育てでのブランクに焦りを感じる一方で、自信を持てずに踏み出せない人も多いですよね。

それは無理ないですよ。だって、私もそうでしたけれど、専業主婦をやっていて評価されることがないじゃないですか。でも、だからこそ「最初の一歩を踏み出そう!」と言いたいんです。一歩踏み出して働いてみると、そこで評価され、いろんなことが見えてきます。

よく誤解されるのですが、私は決して専業主婦を評価してほしいと言いたいのではありません。ただ、第一歩のチャンスを与えてほしいのです。そして、仕事ぶりを見たうえで評価してほしいと思っています。

― 恐れるよりも、とにかくまず一歩を! ということですね。

そうです。あとは、子育てで仕事から離れた期間をネガティブに捉えすぎないことですね。私自身、再就職して働き始めたときに、17年間の子育て経験で知らぬ間に身についていたスキルを実感しました。カフェテリアで60人の部下をマネージしている時、雇い主に「あなたのマネジメントは子どもの教育に基づいている」と言われたことがあって。

― おもしろいですね。子育て経験が会社でのマネジメントに生かされていた、ということでしょうか。

子育てには4つのE=Expectation(あなたはできる、と期待して作業を与える)、Education(期待に応えるための指導をする)、Encourage(できたときに褒める)、Evaluation(うまくいかない時に相手を責めるのではなく自分のマネジメントを見直す)、があります。これはそのまま会社で人材を育てる時に必要なスキルなのですが、私が無意識にこの4つをマネージャーとして実行できたのは、やっぱり娘を育てたからに違いありません。煩雑な家事育児を同時並行するマルチタスク能力やホスピタリティなど、子育てを一生懸命やったからこそ身についたスキルというのはあるはずです。ですから、恐がらずにぜひ第一歩を踏み出してほしいです。

第3回:「先ばかり見ない。今、あなたの目の前にある可能性に気づいて。」につづく

 

取材・文/ 横山さと 撮影/工藤朋子

 

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Cue 編集部

さまざまな女性たちの生き方を紹介するライフストーリーメディア。 変化を受け入れてしなやかに生きる彼女たちの物語が、ほかの誰かにとって小さなきっかけ、「はじま...

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