フリーランス歴20年の白河桃子さんはこう考える。 「仕事は常に変化していくもの」

フリーランスジャーナリストとして、働き方改革やダイバーシティ、女性の活躍推進をテーマに活躍する白河桃子さん。今年7月に上梓した著書『御社の働き改革、ここが間違っています!』では、なぜ働き方が変わると暮らしも生き方も変わるのでしょう。また、企業の働き方改革が進むことでフリーランスの働き方はどう変わるのでしょうか。これからの働き方、フリーランスのキャリア論について、Waris共同代表の田中美和がお話をうかがいました。今回はその第2回です(全3回)。
どう変わる?これからの働き方とフリーランスキャリア論
第1回:労働時間は「量」から「質」へ。これから目指すべき働き方とは?
第2回:フリーランス歴20年の白河桃子さんはこう考える。 「仕事は常に変化していくもの」
第3回:これからの時代を生き抜くには、仕事と学びのバランスが大切
これからは、個人ではなくチームワークで結果を出す時代
田中美和 フリーランスの活躍推進も働き方改革と非常に強くリンクしていると思うのですが、先生はどのようにお考えですか?
白河桃子さん(以下、敬称略) そうですね。先ほどもお話したように、個人の働き方が他律から自律に変わると、多様性が生まれて、さまざまな働き方が交わるようになります。今まで日本では、一人の正社員に多くの仕事を任せ、長い時間をかけてでも社内で仕上げるという働き方をしてきました。けれど、労働時間が量から質に変わることで、まずは仕事の棚卸しをし、切り出せるところは社外の人の手も借りて、チームワークで結果を出すというスタイルにシフトしていくと思います。
ひとつのプロジェクトにかかわるメンバーのなかに正社員がいたり、フリーランスがいたり。
そうですね。そうなるとフリーランスから社員になったり、社員からフリーランスになったりというキャリアの選択も、もっと自由になるでしょうね。
実際Warisのご登録者のなかにも、フリーランスになりたいと会社員から転身された方もいらっしゃれば、フリーランスで数年活躍された後、組織に戻られるという方もいらっしゃいます。
一昔前までは、正社員として就職したら定年までずっと正社員といった具合に、キャリアの選択も一律でした。
けれど、これからは個人のキャリア意識も変わらざるを得ないのかなと。
ものすごく変わっていくと思います。今までのように言われるがまま長時間仕事をしていては、自己投資する時間がありません。けれど、働き方改革によって労働時間が減少すると、夕方以降大学院に行くなり、もっと勉強するようになります。力がつけば、自ずとキャリア意識も変わっていきますよね。大学までの知識だけに頼って、インプットがほとんどないまま、40代、50代を生き抜くことが難しい時代になっています。
少子化ジャーナリスト 白河桃子
慶應義塾大学文学部社会学専攻卒。住友商事、外資系金融などを経て著述業に。相模女子大学客員教授。山田昌弘中央大学教授との共著『「婚活」時代 (ディスカヴァー携書)』(ディスカヴァー携書)で婚活ブームを起こす。少子化対策、女性のキャリア・ライフデザイン、女性活躍推進、ダイバーシティ、働き改革などをテーマに、著作、講演活動を行う。新刊に『後悔しない「産む」×「働く」 (ポプラ新書)
』(ポプラ新書)など多数。
なんとなく始めたフリーランスの仕事が、この20年で大きく変わっていった
白河先生ご自身も20年以上フリーランスで活躍されていらっしゃいますが、そもそもどのようなきっかけでフリーランスという道を選ばれたのですか?
私は大学を卒業してから10年ほど、会社員として働いていました。36歳で結婚してすぐに夫の海外転勤が決まり、会社を辞めました。海外にいた4年間は、日本の雑誌や地元の日本メディアに寄稿したり、独身時代から持っていた女性誌の連載を続けたり、限られたチャンスでお小遣い稼ぎ程度ですが、ライター業をしていました。
結婚される前から書かれていたんですか? 先生はパラレルキャリアとしても、パイオニアでいらっしゃったんですね。
そんなに大層なものではなかったですけれど……。
その後、どのようにしてフリーランスのライターになろうと決心されたんですか?
40歳で帰国し、これから就職先を探すのは難しいだろうと悩んだ末に、ライターを本業にしようと思ったんです。でもそのときは、「これで食べていこう」というほどの強い意気込みもなく、主婦としてフリーランスのライターを続けようと考えていました。だから、まさか、こんな展開になるとは思ってもいませんでしたね。
なるほど。けれど、20年こうしてフリーランスとして活躍されているのは、本当に素晴らしいことです。
この20年間、ずっと仕事が安定していたかというと、そうでもありませんでした。仕事ってどんどん変わっていくし、必ず終わりがきますから。現に今は、よっぽどの人気作家以外は物書きだけでは食べられない時代になりましたよね。やりたい仕事があったとしても、ずっと同じやり方では難しいというのが実感としてあります。
株式会社Waris共同代表・キャリアカウンセラー 田中美和
日経ホーム出版社・日経BP社で約10年編集記者。特に雑誌「日経ウーマン」で女性のキャリアを広く取材。調査・取材で接してきた働く女性はのべ3万人以上。女性が自分らしく働き続けるためのサポートを行うべく2012年退職。フリーランスを経て、2013年ハイスキル女性と企業とのフレキシブルなお仕事マッチングを行う株式会社Warisを共同設立。共同代表。著書に「普通の会社員がフリーランスで稼ぐ」がある。
フリーランスの仕事は、常に生き物のように変化する
フリーランスの仕事って、常に生き物のように変化していくのだと思います。私の場合、最初は頼まれたものを書くという一般的なライター業をしていたけれど、2008年に出した山田昌弘先生との共著『「婚活」時代』のヒットがきっかけで、逆に取材に応じる立場になって、講演やテレビ出演の依頼をいただくようになりました。それから、大学で教えるようになったり、政府の仕事をするようになったり、意図していたわけではないけれど、どんどん仕事の幅が広がっていきました。
基本的には、すべての仕事をお一人でされているんですか?
そうですね。実は、他の人と一緒に何かをやるのがずっと苦手だったんです。リーダーシップとか巻き込み力がないのかもしれません。でも今回の働き方実現会議では、思い切って多くの方々に協力を依頼して、資料を作成したり、提言をしたりしたことで、大きな成果が得られました。たった一人でやれることって限界があるということを学びましたね。
それはすごく感じます。チームで仕事をすると、量も質も変わってきますよね。周囲のフリーランスの方からも、そんな声をよく耳にします。
(第3回に続く)
取材・文/ 孫奈美 撮影/菅原景子
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