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社労士・佐佐木由美子さんが解説!スムーズな転職・独立のお作法【社会保険編】

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転職・独立するときに必要なのは、会社内の手続きだけではありません。社会保険についても、自分で考える必要が出てきます。でも、どんな手続きが必要なのでしょう?女性の雇用問題等に詳しい社会保険労務士の佐佐木由美子さんが、健康保険や年金の仕組みを解説します。

退職する前に確認しておきたいこと

転職・独立を決めて、会社を退職する前に考えておいてもらいたいことがあります。それは、これからの健康保険と年金について。
会社員時代は、すべての手続きを会社が代行してくれていましたが、独立する場合は、特にきちんと考えておかねばなりません。また、転職する場合も、しばらく間が空いてしまうときは、自分で手続きを行う必要があるので注意しましょう。
独立する場合、また転職する場合でも入社まで少しでも期間が空いてしまう場合、健康保険と年金については、以下の中から選択する必要があります。

健康保険について

  1. 任意継続被保険者としてこれまでの健康保険に引き続き加入する
  2. 国民健康保険に加入する
  3. 家族の健康保険に被扶養者として加入する

任意継続被保険者とは、退職等により健康保険被保険者の資格を喪失する場合、これまで加入していた健康保険に、個人で引き続き加入することができる制度です。ただし、2か月以上継続して健康保険に加入していた場合に限られ(すぐに退職する場合はNG)、退職日翌日から20日以内に手続きを行う必要があります。
任意継続の保険料は、退職するときの標準報酬月額に基づいて決められ、保険料は原則2年間変わりません。気を付けたいのは、これまで会社が負担してくれていた半額分の保険料援助がなくなるため、今までの2倍の保険料となること。ただし、上限が設けられていて、加入していた健康保険組合の平均標準報酬月額を超える場合はその額まで(協会けんぽの場合は、28万円)となります。

 

国民健康保険は、辞めるときの給与ではなく、前年度の所得に応じて保険料が決められます。また、任意継続は被扶養者の人数は保険料に影響しませんが、国民健康保険では国民健康保険に加入している世帯人員数に応じて決定されます。
病院等で受診するときの医療費は、いずれも3割の自己負担で違いはありません。ですから、どちらの保険料がお得であるか確認したうえ、退職後にスムーズに手続きができるようにしておきましょう。市町村の国民健康保険担当窓口に本人が問い合わせれば、保険料額を教えてもらえます。

また、家族の被扶養者となる場合は、「主として被保険者に生計を維持されている」状態であることが必要で、同一世帯に属している場合は、具体的に将来に向かって年間年収が130万円未満(60歳以上又はおおむね生涯厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満であることが要件となります。
たとえば、転職するつもりで会社を退職したものの、納得のできる転職先が決まるまでは働く予定はないような場合、一時的に配偶者の被扶養者となるケースも考えられるでしょう。ただし、一定額以上の失業手当をもらっている場合は収入があるとみなされるため、被扶養者とはなれません。この点はご注意ください。

年金について

国民年金には、3つの種別があります。会社員時代は、厚生年金保険に加入していますが、国民年金にも同時に加入していることとなり、この場合「国民年金第2号被保険者」となります。
会社を辞めて、しばらく次の会社に入社しない場合、または独立する場合、原則として「国民年金第1号被保険者」となり、国民年金保険料を納付することになります。
配偶者が会社員や公務員(国民年金第2号被保険者)で、その配偶者に退職後は扶養される場合、「国民年金第3号被保険者」となり、配偶者の勤務先で資格取得手続きを行ってもらいます。第3号被保険者の場合は、年金保険料の納付は不要です。

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方で、厚生年金保険や共済組合に加入していない方は、すべて国民年金第1号または第3号被保険者となります。第1号被保険者の加入手続きは、お住まいの市町村役場で、退職日翌日から14日以内に行うことになっています。健康保険の手続きと合わせて、年金についても忘れずに対応しましょう。

失業保険はどうなる?

会社を退職するとき、「離職票」と「雇用保険資格喪失確認通知書」をもらうようにしましょう。転職するために会社を辞めて、しばらく求職活動を行う場合は、離職票等の必要書類を持ってお住まいのハローワークで手続きを行うと失業手当(正式名称は「基本手当」といいます。)をもらうことができます。
ただし、転職先がすでに決まっている場合やすぐに独立開業して仕事を始める場合は、「失業の状態」にあるとは言えませんので、失業手当をもらうことはできません。

なお、求職活動中に創業の準備や検討を行う場合は、失業手当の支給対象となるよう、現在は取り扱いが見直されています。たとえば、事業許可を得るための申請手続きや事務所を借りるための契約手続きなど、求職活動と並行して独立・起業の準備・検討段階であれば対象となります。
これまで会社にお任せしていた社会保険の手続きを自分で行うというのは、ちょっとハードルが高いと感じるかもしれません。けれども、事前にやるべきことをチェックして準備しておけば、心配することはありません。新しいステージに向けて、頑張ってください。

 

文/佐佐木由美子 編集/Cue編集部

 

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佐佐木 由美子

社会保険労務士/グレース・パートナーズ社労士事務所代表 中小・ベンチャー企業を中心に就業規則、人事労務・社会保険面をサポートするほか、女性の雇用問題に力を注...

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