会社員とフリーランスは何が違うの?――実はよくわかっていないという人も多いのではないでしょうか。女性の雇用問題に詳しい社会保険労務士の佐佐木由美子さんがその違いを徹底解説します。

 

知っておこう!フリーランスの意外な盲点

「フリーランス」というと、会社員と比べて、自由に仕事ができるイメージを持たれるのではないでしょうか?

確かに、そうかもしれません。どのような仕事を受けるか、という「仕事を選ぶ自由」もありますし、いつ・どこで・どのようなやり方で進めるか、といった働き方においても、裁量があります。そのため、「自分らしく働きたい」と強く思っている人にとって、フリーランスは理想の働き方ともいえるかもしれません。

 

自由度が高いということは、ある意味責任も大きいということを意味しています。会社員であれば、最初に会社と労働契約を結べば、プロジェクトの度に契約書を取り交わすようなことはなく、指示を受けた仕事をこなして、毎月一定のお給与をもらうことができます。

 

ところが、フリーランスは、個々の取引先との契約となり、業務内容や金額、納期、支払時期などその都度交渉したり、確認したりする必要があるのです。もちろん、事前に価格設定など必要事項について、決めておくことはひとつですが、型にはめられない依頼や突然の納期スケジュールなど、臨機応変に対応しなければならない場面も出てくるでしょう。

 

仕事をする時間だけではなく、受注するための営業活動や契約、税金面の対応など、会社員時代は他の人が担ってくれていた業務を、自分で行っていく必要があるため、意外と時間が取られてしまいます。最近は、フリーランスに仕事を紹介してくれたり、手間のかかる契約交渉を代わりにまとめてくれたりする人材紹介会社も出てきていますから、そういったサービスを活用するのも手ですね。本業以外にやるべきことがある、というのは意外と盲点なので、留意したいところです。

 

フリーランスは健康保険&国民年金に自分で加入pixta_21203928_S

私たちの生活に密接に関わってくる「保険」と「年金」についても、会社員とは異なります。会社員の場合、①労災保険、②雇用保険、③健康保険、④厚生年金保険の4つの社会保険に加入しています。

 

ところが、フリーランスの場合は個人事業主となるため、労働者のための労災保険と雇用保険、また厚生年金保険には加入することができません。つまり、保険は健康保険と国民年金の2つとなります。しかも、手続きは自分で行わなくてはなりません。

会社員は健康保険と厚生年金についてその半分を、労災保険については全額を会社が負担してくれていましたが、フリーになるとそうした恩恵は受けることができないのです。

 

労災保険は、仕事中のケガや病気、その間働けないときの生活をサポートしてくれるものですが、そうした保険がありません。また、傷病のときも、会社員には最長1年6か月まで休業中の生活を補償してくれる「傷病手当金」がありますが、フリーランスにはありません。フリーになったら、それまで以上に健康に気を遣う必要があるでしょう。

 

また、仕事を辞めたときの失業給付もフリーランスにはありません。収入が会社員のように毎月一定とは限りませんから、そうした変動に備えて生活が成り立つように意識しておくことも重要です。

 

そう考えると、「フリーランスは大変そう」と思うかもしれませんが、要は会社員時代以上に稼ぎ、いざというときに備えて民間の保険に入っておけばいい、と言うこともできるでしょう。会社員とはどこが違うのか事前に知って、リスクに備えておけば、必要以上に不安がることはありません。

 

フリーランスは「確定申告」が必須pixta_14257764_S

税金についても、会社員時代は会社が「年末調整」を行ってくれてすべてフォローしてくれていましたが、自分で確定申告を行う必要が出てきます。

 

フリーランスの場合、取引先が複数になることが多いので、収入を一括で把握することができません。

それぞれの売り上げを集計して、経費を差し引いたものが「事業所得」となります。それに各種控除を差し引いた額を課税所得として、所得税を計算します。こうした細かい作業が苦手な方は、税理士にやってもらう方法もあります。すべて自分で抱え込まずに、頼りにできる専門家がいれば、相談してみるものよいでしょう。

 

さらに、会社員時代は給与天引きをされていた「住民税」も、退職すると自分で納付しなければなりません。住民税は、主として前年度(1月~12月)の所得に応じて金額が決まるため、前年にバリバリと働いていたら、6月から始まる翌年度の住民税の支払額にビックリされることでしょう。こうした税金は、計画的に確保しておくようにしてください。

 

働き方を決めるのはあなた次第

フリーランスになると、自由な働き方ができ、自分の意思で仕事も決められる一方、会社がバックアップしてくれていたことを自分で引き受ける必要があります。その覚悟を持つことは大事です。

 

取引先との契約や保険・年金、税金のことなど、最初は大変かもしれません。しかし、慣れてコツをつかんでしまえば、順調に回り出していくでしょう。

 

フリーランスは、自分の能力次第で、会社員には望めない大きなリターンを手にする可能性もあります。どこにプライオリティを置いて働き方を選択するか、それはまさにあなた次第です。

自由度が高い分、責任も大きい。でも一度、「自分らしい働き方」について考えてみようかな。
by ナオコ

社会保険労務士
グレース・パートナーズ社労士事務所代表 佐佐木由美子

中小・ベンチャー企業を中心に就業規則、人事労務・社会保険面をサポートするほか、女性の雇用問題に力を注ぎ、出産後も女性が働き続けられる雇用環境をサポート。著書に「知らないともらえないお金の話~病気、ケガ、育児…人生の転機でもらえる給付金活用術」(実業之日本社)等。働く女性の職場環境改善のための情報共有サロン「Salon de Grace」、Facebookページ「グレース・プロジェクト」主宰。
http://www.sasaki-sr.net/

 

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