デザイナーやエンジニアなどではなく、いわゆる総合職のごく一般的な会社員が、フリーランスになって果たして食べていけるのか。そんな問いをきっかけに、実験と称して自らフリーランスに転身した黒田悠介さん。

今やフリーランス研究家という肩書きまで持ち、フリーランスが集うコミュニティの代表も務める黒田さんに、フリーランスの今とこれからをお聞きするこの連載。3回目は、ご自身の現在の活動と、フリーランスの前途について語ってくださいました。

INDEX

第1回:“文系フリーランス”は食べていけるのか?

第2回:フリーランスになる前に「信頼残高」を貯めておく

第3回:あと2年で“フリーランス”は死語になるかもしれない

ひたすら議論する「ディスカッションパートナー」という仕事

― まもなくフリーランス3年目を迎える黒田さん。現在の活動について教えてください。

今、個人の肩書きとしては、ディスカッションパートナーとフリーランス研究家の2つを使っていて・・・ちなみに私、フリーランスになってから肩書きが6、7回変わっています。

 

― 肩書きが6、7回変わっている!?

どんな肩書きがいいのかわからなくて迷走した結果、そうなりました。最初の頃はほんとに迷走しまくっていて、webコンダクターとか、ビジネスデザイナーとか、いちばん迷走していた感があるのはインサイトハッカー・・・でしょうかね(笑)。そんな変遷を経て、今はディスカッションパートナーに落ち着いています。

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黒田悠介

「フリーランスを実験し、世に活かす」という活動ビジョンを掲げて、自分自身を実験台にしている文系フリーランス/フリーランス研究家。新しい『事業』と『働き方』を生み出すことが生業。スタートアップから大企業の新規事業まで「ディスカッションパートナー」として、年間30社の事業立ち上げを支援。

公式サイト:https://www.discussionpartners.net/
議論メシ:https://www.gironmeshi.net/
フリーランスナウ:https://freelancenow.discussionpartners.net/

― ディスカッションパートナーとは、どんなお仕事ですか?

経営者や新規事業に取り組もうとしている人と、2時間ひたすら議論する仕事です。2時間のあいだに、相手の課題や問いに対して意見を投げ、打ち返されてきた相手の意見をまた打ち返し、対話しながら問いを深め、アイデアの輪郭や解決の糸口を探していくイメージです。ディスカッションだけで価値を提供するのが肝で、「流しの壁打ち相手です」なんて表現することもあります。

 

― 流しというのが、フリーランスっぽくて興味深い!

おかげさまで、さまざまな企業やNPOの方に声をかけていただき、今は年間35社くらいにご依頼いただいています。そして、そのようなことをしばらく私ひとりでやっていたのですが、もう少し自分を拡張したいなと思って始めたのが2つのコミュニティです。ディスカッションパートナーを展開させたものが議論メシ、1700名のフリーランスを集めたものがフリーランスナウです。

 

黒田さんが仕掛ける「議論メシ」と「フリーランスナウ」

― 『議論メシ』ってキャッチーですね。どんなコミュニティなのでしょう?

議論でメシを食っていく人が集うサロンです。私がやっているディスカッションパートナーのような生き方をしている人、今後それを生業にしたいと考えている人が集まり、ディスカッションの経験を積んでいく有料会員制のコミュニティです。今は90人ほどメンバーがいて、毎月10人くらいのペースで増えています。この取り組みは、世の中に新しい職業=ディスカッションパートナーという職業を生み出すことができるのかな、といった実験でもあります。仮想的なケースで議論するのではなく、今リアルに起きている問題を企業から提供してもらい、議論メシメンバー数人で解決に行く実践形式なのが特徴です。

 

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議論メシ」HPより

 

― すごく熱い場になりそう・・・!企業としてもありがたいでしょうね。

目の前に問いを抱えた人がいて、その人のために全員が全力で答えていくことが、メンバーにとってはすごくおもしろいし、貢献できることが嬉しいし、その経験はスキルになり将来的に生かされ、企業にとっては問題が解決するわけですからいいこと尽くめです。私ひとりでは出ないようなアイデアも5、6人いると出たりするので、コミュニティ化してチームで取り組んでいることが利いているな、と感じます。

 

― 『フリーランスナウ』はどんな取り組みですか?

フリーランスナウはそもそもは自分のエゴで始めたことで。仕事をしている中で「フリーランスを紹介してほしい」と言われることが増えてきた時、自分を介さずに手間を省いてマッチングできる仕組みがあったら便利だなと思って、Facebookにグループを作ったのが始まりなんです。勝手にここに声をかけて探してください、と(笑)。

 

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フリーランスナウ」HPより

 

― それが今では1700人ものフリーランスが参加し、仕事の依頼が飛び交う場になっているんですね。

おもしろいことに、自然と仕事が集まるようになってきました。すると今度は、フリーランスたちも集まってきて、仕事とフリーランスのいいループが勝手に回り始めたんです。その循環を見て、「これはもう少ししっかり整えればいろんな人の役に立つぞ」と思って手を掛けた結果、マッチングの無人化に成功しました。仕事を依頼したい企業がフォームに案件を入力すると、15分以内には自動でコミュニティに投稿され、やりたい人が直接コンタクトを取ります。誰でも手を挙げられるわけではなく、コミュニティ参加の段階で活動実績などを審査をしています。

 

― 『議論メシ』や『フリーランスナウ』が盛り上がる背景に、企業側がフリーランスを求めている実情が見えてきますね。

フリーランスに依頼する企業はずいぶん増えていると思いますよ。とはいえ、まだこれからという段階で、企業も依頼に慣れていませんので、まずは一度フリーランスを使ってみてほしいですね。『フリーランスナウ』でしたらマッチングは無料ですし。オープンイノベーションの文脈でもあるのかなと思うのですが、『議論メシ』も含め、企業は上手に外部のリソースを使っていってほしいです。

 

「フリーランス」は働き方からライフスタイルへ

― お話をお聞きしていたら、フリーランスの可能性に明るいものを感じて、今後が楽しみになってきました!

あと2年もすればフリーランスが定着して、フリーランス研究家も用なしになるんじゃないでしょうか。そうなってほしいなと思います。“フリーランス”なんて言葉も言わなくなるかもしれないですね。

 

― フリーランスが死語になったら、次は何て言いましょうかね? 黒田さんぜひネーミングを(笑)

何がいいんだろう? イメージとしては『ライフ・シフト』で書かれていた “ポートフォリオ・ワーカー”に近いのかな。いかに依存先を分散し、増やして働いていくかが、今後はより重要になってくると思いますので。フリーランスも会社員も、みんな副業したらいいですよね。いずれにしても、今フリーランスと呼ばれている働き方はこの先、ライフスタイルそのものになっていくと私は思っています。

 

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