デザイナーやエンジニアなどではなく、いわゆる総合職のごく一般的な会社員が、フリーランスになって果たして食べていけるのか。そんな問いをきっかけに、実験と称して自らフリーランスに転身した黒田悠介さん。

今やフリーランス研究家という肩書きまで持ち、フリーランスが集うコミュニティの代表も務める黒田さんに、フリーランスの今とこれからをお聞きするこの連載。2回目は、フリーランスになりたい人、なった人に向けて、黒田さん視点のアドバイスをいただきました。

INDEX

第1回:“文系フリーランス”は食べていけるのか?

第2回:フリーランスになる前に「信頼残高」を貯めておく

第3回:あと2年で“フリーランス”は死語になるかもしれない

フリーランスに向いてる人向いてない人

― 前回のお話で、フリーランスになったことがご自身にとっては「めっちゃ、よかった」とおっしゃっていました。やっぱり、向かない人もいますか?

たしかに、向き不向きは多少あるでしょうね。でも、カードの切り方の話でもあると思っていて。手元にあるのがどんなカードであろうとも、やり方次第で可能だと思うんですよね。

 

― カードの切り方次第・・・なるほど!

たとえば、私は対面でのコミュニケーションが好きで、そのカードを使ってディスカッションパートナーという仕事をしています。では、そういったコミュニケーションが苦手な人はフリーランスになっても営業ができないか、仕事をとれないかといったら、まったくそんなことはない。オンラインでの活動を工夫するなど、いくらでもカードの切り方はあるわけです。「自分の持っている特性や能力をどう生かすか」がポイントで、それ次第では誰でも挑戦できる働き方だと思っています。

 

黒田悠介さん02_本文01

 

ただ1つ、向いていない人がいるとするなら、自分で何かを決断したり、キャリアの舵取りしたりすることに苦しさを感じる人でしょうかね。そんなタイプはフリーランスになったら辛いんじゃないかと思います。

 

フリーランスになる前に”お金”よりも貯めておいたほうがいいもの

― 会社員からフリーランスになって、最初から食べていけるかな?という定番の悩みもあります。

すぐに仕事があるかわからないから、とりあえずお金を貯めておこうって人は結構多いですよね。それも当然大切ではあるのですが、フリーランスになる事前準備としてはお金以上に、会社の外に対して「信頼残高」を貯めておくことが大事だと考えています。

 

― 信頼残高!! それはどんなものですか?

フリーランスになる時に重要なことは、自分がどういう人間で、どんな仕事をしていて、どんな働きぶりであるかを、会社員時代のうちから社外にどれだけ認知してもらえているかだと思うんです。認知してもらうためには、社外に対してしっかりと“貢献”することが大事で、イベントに行って人と知り合ったことだけを人脈だと思い込んでいるとちょっと大変です。その知り合った人に対して、どれだけギブできたのかが重要なんです。

 

― ギブが大切なんですね。そういった準備は見落としがちかもしれないです。

ギブ・アンド・テイクじゃなくて、ギブ・アンド・ギブ・アンド・ギブ・アンド・・・・テイクぐらいの感じです。信頼残高を貯めておけば、それを切り崩してかならずお金に変えていけますからね。私もギブの連続ですよ(笑)。

黒田悠介さん02_本文02

黒田悠介

「フリーランスを実験し、世に活かす」という活動ビジョンを掲げて、自分自身を実験台にしている文系フリーランス/フリーランス研究家。新しい『事業』と『働き方』を生み出すことが生業。スタートアップから大企業の新規事業まで「ディスカッションパートナー」として、年間30社の事業立ち上げを支援。

公式サイト:https://www.discussionpartners.net/
議論メシ:https://www.gironmeshi.net/

フリーランスナウ:https://freelancenow.discussionpartners.net/

― すごく勉強になります。人脈広げておかなくちゃ!だけではダメですね。

そうですね。ソーシャルキャピタルを高めておくことが事前準備としては本当に大事です。信頼残高も貯金通帳みたいなのがあればいいんですけど(笑)ストックが見えないので、その指標になるのがたぶん退職ブログじゃないでしょうか。「会社を辞めてフリーランスになります」とSNSに投稿した時に、どれだけの人が「一緒に仕事しようよ」と言ってくれるか。それが0人では最初にかなり苦労するでしょうけれど、たとえば10人から声がかかれば、辞めてもすぐに稼げると思います。

 

フリーランスが意識すべき「時間が味方になる取り組みであるか?」という考え方

― 順調にフリーランスをスタートしても「続けていくことが大変」と感じる人も多いですが、黒田さん自身はいかがですか?

私は継続させるための“循環”をすごく意識していますね。循環していなくて直線的にやっていると、一直線にしか伸びないうえに、ずっと力を入れていなければ伸びていかない。それではだんだん辛くなります。ところが、循環があると自分の予期せぬ方向に勝手に伸びていったり、広がっていったりすることがあるのです。

 

― 一直線ではなく循環。どんなことを心がけたらよいのでしょう?

簡単に言うと、時間が味方になる取り組みをしましょう、ということです。

たとえば、イベントとコミュニティの違いもそうです。時間が味方にならないのがイベントで、味方になるのがコミュニティ。

イベントって、開催するたびに集客し直して、毎回集客が大変で、時間が経ってもそれは変わらないじゃないですか。反対に、コミュニティはうまく循環すれば放っておいても盛り上がるし、いろんなものが勝手に集まってきます。時間が経てば経つほど密になり、価値が高まっていくから、長く続けられます。強くもなっていきます。

フリーランスで仕事を続けていくのにも、この考え方「時間が味方になる取り組みであるか?」というのは、ひとつのポイントではないでしょうか。

第3回『あと2年で“フリーランス”は死語になるかもしれない』につづく

 

取材・文/横山さと 撮影/Cue編集部

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします