社会課題に取り組む新興国のNPOや企業とともに、本来のスキルを活かして課題解決に挑む「留職プログラム」を通じ、企業のリーダー人材育成と新興国の社会課題解決を目指す、NPO法人クロスフィールズ広報とマーケティングの担当者として働く一門さんは、ご主人の転勤に伴い、経済産業省を退職後、フリーランスとしての個人活動期間を経て、クロスフィールズの一員として活躍しています。

クロスフィールズ代表理事の小沼さん一門さんに「これからの働き方」についてお伺いしてきました。

※役職名は、取材当時のものです。

Q 一門さんを採用された経緯を教えてください。

小沼さん(以下、敬称略):2年ほど前に広報担当を募集した際、実は30人以上の応募がありました。国際関係の組織で広報のキャリアを積まれた方をはじめとして、経験値の高い方もいらっしゃったのですが、むしろ経験が少なくても団体のビジョンやミッションに共感して、一緒にクロスフィールズの広報のやり方を作っていける人を採用したいと考えていました。

小沼さん|クロスフィールズ代表理事
小沼さん|クロスフィールズ代表理事

 

経験の多いことはメリットでもあるのですが、自分のやり方に固執されてしまうリスクもある。そう考えて、より組織にフィットしてくれる人材を探していたのです。我々の組織がまだ成長段階ということもありますので、決まったことだけをこなす人ではなくて、わからない状況の中でもとりあえずやってみることができる人と一緒に働きたいと思っていたんですね。
同時に、家庭と仕事の両方を大切にできる人がいいと考えていました。両立ってそんなに生易しいものではないですし、両立が厳しくなった時にも、なんとかして乗り切る覚悟のある人を求めていました。

 

Q 実際に一門さんと働いてみて、いかがですか?

小沼一言でいえば「意地のぶつかり合い」でしたね。一門の入社直後に、本の出版や周年イベント、テレビ取材などの多くの業務があったのです。彼女も育児をしていますし、私自身も1ヶ月間、育児休業をとっていましたから、最初から極限状況の中での仕事でした。

育休中なのでオフィスにいくことは避けていたのですが、広報関連は代表である自分自身が不可欠な業務も多く、オンラインツールなどを活用して何とか業務を進めていました。

一門は、「気合い」や「覚悟」のようなものを人一倍持っている人材。分からない状況の中でもとにかくやってみる、形にすることに秀でています。お互いギリギリの状況の中で仕事のボールを投げあい、いい意味で「意地」を貫いてそれぞれがパフォーマンスを発揮し、チームとして様々な課題に向き合っていく。そんな濃密な時間を経て、信頼関係のベースを築くことができましたし、一門自身の経験値やスキルもどんどん上がってきたと感じています。

その後も、一門は広報として仕事の幅をどんどん広げ、今では組織になくてはならない存在です。短い期間に、一般的な広報担当の3~5年分の仕事を経験したのではないかと思います。

 

Q 一門さんは、なぜクロスフィールズで働こうと思ったのですか?

一門さん(以下、敬称略):経済産業省を退職後、フリーランスなどの個人活動期間を経て、様々なエージェントに登録し仕事を探しました。ただ、官僚というのはある意味でゼネラリスト。専門性がある人に比べて不利だという現実に直面し、女性がキャリアを続けていく上では、何らかの専門性が必要だと感じました。もともと、自分の好きなことを他の人に知ってもらうことが好きだったので、「広報」という分野を専門にしたいと考えたのです。

一門さん|クロスフィールズ広報・マーケティング担当

過去に小沼の講演を聞く機会があり、クロスフィールズの取り組みに興味を持っていたことも大きかったです。クロスフィールズの活動を広めることが、自分のやりたいことだと感じられたので加入を決めました。

私自身は「気合い」という言葉はそこまで好きではないのですが…(苦笑)、広報という専門分野であること、そしてクロスフィールズの取り組みに共感していることで、大変な状況の中でも仕事を楽しむことができるのだと思います。

 

Q ご自身のキャリアをどのように考えていますか?

一門:実は、経済産業省を辞める際に「このまま働き続けたいけど、今の状況では続けられない。それでもいつかはまたここに戻って仕事がしたい」という複雑な思いを抱いていました。経済産業省を退職したという事実は自分の中でとても大きくて、敗北感みたいなものがどこかにありました。正直にいえば、その傷口はまだ完全には埋まっていないのかもしれません。

それでも、今は「あの選択は間違っていなかった」と自信を持って言えます。そして現在、小沼が経済産業省の委員会に所属していることもあり、私もクロスフィールズの一門として、経済産業省と仕事で関わることができています。辞めるときに考えていた「それでもいつかはまたここに戻って仕事がしたい」という想いを叶えることができたんですね。

一方で、フリーランスとして個人で活動していた期間には、「組織の看板の大きさ」ということも強く感じました。たとえば、経済産業省の名刺ではなく、いちフリーランスとしての名刺を出すと、行きたいイベントの抽選に漏れることもあります。個人のバリューを発揮するという大前提がありつつ、状況に応じて利用できる組織の看板は利用していく。それが、人生100年時代の働き方なのかもしれません。

クロスフィールズ_03

取材・文・撮影/Cue編集部

NPO法人クロスフィールズ

「枠を超えて橋をかけ 挑戦に伴走し 社会の未来を切り拓く」をミッションに、「留職プログラム」、「社会課題体感フィールドスタディ」、「社会課題解決ワークショップ」、「ソーシャルセクター支援」といった、社会課題解決と企業のリーダー人材育成双方に貢献する活動を行う。企業の社員を新興国の社会課題解決に取り組む団体等に派遣し、本業で培ったスキルを活かして課題解決に取り組む「留職プログラム」はこれまで7年間で11か国、約80の団体に約140名の留職者を派遣。プログラム導入企業は累積30社を超える。

本社所在地:東京都品川区

ウェブサイト:http://crossfields.jp/
■創業/2011年5月3日
■事業内容/留職プログラム、社会課題体感フィールドスタディ、社会課題解決ワークショップ、ソーシャルセクター支援、アドボカシー・講演事業を通じて、国内外の社会課題解決と企業のリーダー人材育成に貢献する
■従業員数/13名

 

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