日に焼けた肌に茶髪のツイストヘア、低めのしゃがれ声と、一般的な保育士のイメージとはかけ離れた福田弘美さん。元々は子どもが特別好きでもなく、保育士になりたかったわけでもないそうですが、約8年前に鎌倉で「いっぱいわらお。」がキャッチフレーズの「まんまる保育室」を設立。園児や父兄から「ひろちゃん」と親しまれ、毎日全力で園児たちと遊ぶ園長に。

「アドバイスなんかできないけど、身近なところから働くお母さんの力になれたら」とおっしゃる、まっすぐで飾らない福田さんのメッセージを3回にわたってお届けするこの連載。1回目は、「働くお母さんの力になりたい」というお話です。

INDEX

第1回:会社員もフリーランスも。頑張るお母さんの力になりたい

第2回:お迎え前にスーパーに寄るって悪いこと?「保護者支援」は保育園としての義務

第3回:延長保育はかわいそうなことじゃない。保護者と保育園の上手な付き合い方

― 仕事と子育てをしていて、「子どもにイライラしてしまう」と悩むお母さんが多いのですが、どんな言葉をかけてあげたいですか

お母さんがイライラするのなんて普通!当たり前だと思います。イライラしないお母さんがいたら見てみたい(笑)。仕事に行かなきゃいけない朝なんてイライラして何回も「チッ」って舌打ちするのが普通ですよ(笑)。イライラすることを悪いとかまずいとか思わない方がいいですよね。恥ずかしいとか隠そうと思うと辛くなってしまうから。保育園でも子どもや夫にイライラした愚痴を話してくれるお母さんの方が見ていて安心します。

 

―イライラしたときのアドバイスはありますか?

保育のプロとしての専門的な話とはまた別なんですが、お母さんとしては、ストレスを好きなことで発散するのがいいと思います。たまには、子どもを見える範囲で完全に安全な場所で遊ばせておいて、自分もスマホのゲームに夢中になるとか、子どもを夫の母に預けてパチンコに行ったっていい(笑)。それを悪いとか申し訳ないと思わないこと!

私も、自分が好きで作った「まんまる保育室」ですけど、たまにスタッフに任せて早く帰らせてもらって、ソフトボールの練習行ったり、飲みに行ったり好きなことをやる日があります。息抜きすると、次の日また全力で子どもたちと遊べるんです。あと、「あたしこんなに頑張ってるのに!」って思い始めたら危険信号かも!?その気持ちって、夫や子供への八つ当たりのスタートにもなるから。イライラするほど頑張らなくて大丈夫。手を抜いていいんです。

全力で園児と崖滑りを楽しむひろちゃん(まんまる保育室提供)
全力で園児と崖滑りを楽しむひろちゃん(まんまる保育室提供)

 

― 気分転換は大事ですよね。申し訳ないと思わないことがポイントですね。

そうなんです。この間も子ども二人を預けてるお母さんが、上の子と下の子が交代で熱を出して休んで、ずっと看病して疲れ果てていて。やっと下の子も元気になったけど、その週は会社から休みもらったと言っていたので、「明日は保育園に二人とも預けて、お母さん休息していいよ!」と伝えたら「そんな(仕事が休みなのに預けるのが)申し訳なくて…」と言われたんです。私は申し訳ないと思わせちゃってることがショックでしたね。

 

― 仕事以外のときは預けてはいけないという保育園が多いですよね。保育園に迎えに来る前にスーパーに寄って買い物しちゃいけないとか…

スーパーの袋を自転車のヘルメットにギューっと押し込んで隠しているお母さんとか、美容院帰りに帽子を深~くかぶって迎えに来るお母さんがいますね(笑)。

でも、お母さんが休息することや、先に買い物してきたことが悪いことのような、そういう気にさせちゃいけないなと思うんです。保育園は、「保護者支援」という役割も担っているんです。働くお母さんたちの伴走者でありたい。

お迎え前の買い物はダメという保育園もあるけれど、「まんまる」は「預けていいよ」と言ってあげたいです。走り回る子どもと一緒に夕飯の買い物するより、お母さんが一人でササっとスーパーに寄った方が絶対ストレスないもん。

鎌倉の大自然の中で遊ぶひろちゃんと園児たち(まんまる保育室提供)
鎌倉の大自然の中で遊ぶひろちゃんと園児たち(まんまる保育室提供)

― ルールのこともありますが、「自分のために時間を使う」ことに罪悪感を抱くお母さんは、少なくないのかもしれません。

「まんまる」に子どもを預けているお母さんが言っていた印象的な言葉があります。仕事を始めたことを「私がムダな向上心を持っちゃったから」って。ムダなんてことないのに!お母さんが「やりたい」と思ったり、好奇心を持ったりすることに罪悪感なんて持たなくていいんです。好きなことや笑えること、何でもいいからやってみればいい。お母さんだからって、常に「子育て」が目の前にある必要はないと思います。

第3回『延長保育はかわいそうなことじゃない。保護者と保育園の上手な付き合い方』につづく

取材・文/村雨玲子 撮影/工藤朋子 本文写真提供/まんまる保育室

まんまる保育室(特定非営利活動法人まんまる まんまる保育室)
住所:神奈川県 鎌倉市常盤64 − 5
HP:https://sites.google.com/site/manmaruhoiku/
※小規模保育事業A型として鎌倉市から認可を受けています。

 

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