こんにちは。

「フリーランス編集長」の高橋実帆子です。

 

健康診断、皆さんは定期的に受けていますか?

 

先日、夜中に咳をしたら突然左の肋骨のあたりに激痛が走りました。息ができないほど痛み、数日たっても治りません。出産すると骨がもろくなると言うし、もしや肋骨が折れたか…とドキドキしながら整形外科を受診。レントゲンを撮ってもらいました。

 

「うん。骨はきれいですね。筋肉を痛めたかな」とお医者さん。

サポーターと痛み止めを処方してもらい、ほっと胸をなで下ろしたもつかの間、先生が突然「最近、健康診断は受けましたか?」と言いました。

 

会社員時代と違い、誰からも「健康診断を受けなさい」とは言ってもらえないのがフリーランス。私も、年に一度自分宛てにリマインドメールが届くように設定し、しっかり健康診断を受けています。

 

「はい。今年の初めに受けました」と私。

「胸部レントゲンは撮りました? 何も言われませんでしたか?」

「ええと…たぶん、大丈夫だったと思います」

「そうですか。実はね、肋骨はきれいなんだけど、ほら、ここ。肺のあたりに白い影があるの分かります?

先生は少し顔を曇らせて、今回痛めたのとは反対側、右胸の上を指さしました。確かに、もやもやと白く丸いボールのようなものが写っています。自分の顔から、すーっと血の気が引いていくのが分かりました。

 

レントゲン写真に白い影! 初めてのCT検査

 

「これは…何でしょうか」

「うーん。レントゲンでは何とも言えません。すぐ大学病院に電話をしてあげるから、CTを撮った方がいいと思う」

大学病院、CT…

予想もしなかった展開に、心臓がドキドキしてきました。

 

「そうですか。いつごろ行けばいいですかね? 今月はちょっと仕事が立て込んで…」

「仕事もおありでしょうが、できるだけ早い方がいいと思うよ。今週はどうしても休めませんか?」

今週? そんなに急に?

 

それでも、出社の予定をリモートワークに切り替え、勤務時間を調整すれば急な予定変更にある程度対応できるのが、フリーランスのいいところです。

 

先生が大学病院に電話をしてくれる間、居てもたってもいられず、スマホで「肺 レントゲン 影」と検索してしまいました。結果は、皆さんご想像の通り。表示されるさまざまな病名をスクロールしているうちに、目の前が真っ暗になり、ネガティブな想像で頭がいっぱいになりました。

 

「…かはしさん。髙橋さん!」

看護師さんに肩を叩かれて我に返りました。

「CTの予約、取れましたからね。明日、〇時までに××大学病院の受付を済ませてください。朝ごはんは食べないで。たぶん、造影剤という薬を使うことになるので、これからそのリスクについて説明します…」

 

それから先生が検査について話をしてくれたのですが、正直、内容はほとんど覚えていません。ひと通りの説明が終わった後で、「あの…先生」と思い切って切り出しました。

「肺に影があるというと、どんな病気が考えられるんでしょうか」

「うーん、それを調べるためにCTを撮るんですが」と前置きをした上で、先生はさまざまな炎症や、肺がんの可能性もあることを話してくれました。

 

もし自分が病気になったら… フリーランスの立場の弱さを実感

 

病院の外へ出ると、とてもいい天気でした。青い空を見上げながら、そうか、私、病気かもしれないんだなあ…と思いました。もともと私は、とても心配性な性格。そう言えば、最近、夜になると咳が出ていた。急に体重が落ちたのは自転車で保育園送迎をしているからだと思っていたけれど、もしかしたら病気のせいだったのかも――などとネガティブな連想が止まりません。

 

それでも日中は、仕事や家事の忙しさに取り紛れてさほど深刻にならずに済みました。夜、子どもたちを寝かしつけ、寝顔を見ているうちに、ふと「この子たちの成長を見届けられなくなったらどうしよう…」という考えが浮かんできました。

 

私が入院することになったら、誰が子どもの世話をするんだろう? 毎日深夜残業をしている夫は、仕事の都合をつけられるんだろうか?

万が一医療費が高額になったら…ああ、よかった! 子どもが生まれたとき医療保険に入ったんだった。私に何かあったら、まだ子どもが小さいから、夫も今の仕事を続けられなくなる可能性がある。生命保険も、金額は少ないけれどかけておいてよかったな。

 

「病気」という視点からあらためて考えると、フリーランスという立場はやはり少し不安です。もし入院や治療で仕事を続けられなくなったら、もちろんその期間の収入はありません。健康を取り戻しても、休みが長期間に渡れば、元の仕事に戻れる保証もありません。

わが家は夫が正社員なので、今すぐ路頭に迷うことはありませんが、夫婦共フリーランスで収入が不安定だったら、生活が大きく変わってしまう可能性もあります。

 

忙しさを言い訳に検討を後回しにしていたフリーランス協会所得補償制度、申し込んでおけばよかった…と短い間にいろいろなことを考えました。

 

「やらないと後悔すること」、後回しにしていませんか?

 

こんなとき、不安な気持ちを無理に打ち消そうとするのは逆効果です。思い切ってノートを広げ、「もし、余命1年と宣告されたらやりたいことは何か?」というテーマでリストを作ってみることにしました。

 

まず、できるだけ長い時間を家族と一緒に過ごすこと。これは絶対に譲れません。

 

それから、仕事。フリーランスという働き方は、やはり最後まで手放したくないと思いました。確かに不安定さはありますが、この自由な働き方のおかげで仕事の幅や新たな出会いが広がってきたことを実感しているからです。

 

「いつかやろう」と思いながらなかなか手を付けられずにいた仕事の中にも、「これだけはどうしてもやり遂げたい」というものがあります。

 

死ぬ前にもう一度見ておきたい景色。

生きている間に行きたい場所。

どうしても会って、ゆっくり話をしておきたい人。

 

あれこれ思いを巡らせるうち、いつの間にか不安はどこかへ消えていました。そして真夜中、完成したリストをあらためて冒頭から読み返しながら、ふと思ったのです。

 

「これって、残された時間の長さに関係なく、今すぐやるべきことなんじゃないの?」と。

 

仕事。家事。育児。

時間に追われる毎日の中で、私たちはどうしても「やりたいこと」よりも「締め切りが迫っていること」「目につきやすいこと」から取りかかってしまいがちです。

「やりたいこと」を優先する生き方がしたいと思ってフリーランスになったはずなのに、いつの間にか「するべきこと」の鎖で自分自身を縛っていた自分に気づきました。

 

毎年1回、キャリアも健康診断を

 

余命が1年でも50年でも、送りたい人生は変わらない。

「これがやりたい!」という自分の情熱を羅針盤にしようと決めたら心が落ち着き、ぐっすり眠ることができました。

 

…ちなみに検査の結果は、「おそらく肺炎の痕でしょう」とのこと。しょっちゅう子どもにうつされた風邪をこじらせているので、気づかないうちに肺炎にかかっていたのかもしれません。経過観察をすることになりましたが、今すぐ命に関わるという性質のものではなかったようです。

 

幸い、今回は大事に至りませんでしたが、人生100年と言われる時代、自分も家族も健康で、何の問題も働き続けられる時期ばかりではありません。今回の出来事を通して、思いがけず、自分の価値観やキャリアを見直すきっかけを得ることができました。

 

もし、残された時間があと1年しかなかったら、あなたは何をしたいですか?

 

毎年1回、生き方・働き方の健康診断のつもりで、皆さんも見つめ直してみてはいかがでしょう。

Cue編集長/言編み人 髙橋実帆子
髙橋実帆子
Cue編集長/言編み人

慶應義塾大学法学部政治学科卒。一般社団法人共同通信社記者などを経て、2013年からフリーランスに。転勤族の夫と共に日本全国を転々とし、2人の息子を育てながら、エディター・ライターとして、書籍や雑誌、webメディアの記事を手がける。2017年7月からCue編集長。
https://hana-tsuki.themedia.jp/

 

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