8月24日(木)、「フリーランスをめぐる法制度の議論〜現状とこれから〜」と題し、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(以下、「フリーランス協会」)の主催によるラウンドテーブルが開催されました。

 

前回の記事では、フリーランス協会からの提言や、現行の労働法の問題点をご紹介しました。

なぜフリーランスには労働法が適用されないの? フリーランス協会主催「フリーランスをめぐる法制度の議論」実況リポート【前編】

今回は、後半のフリーディスカッションの内容をお届けします。

 

フリーランスにまつわる法制度について、教えて!

ラウンドテーブルの締めくくりは、ジャーナリストの方々からの質問に、大内教授とフリーランス協会代表理事の平田さんが答えていく形でオープンディスカッションが展開されました。質疑応答の内容をいくつかご紹介します。

 

Q. フリーランスのような成果型の労働者に対する、労働対価の測り方は? 最低賃金などの規制は必要でしょうか?

A.(大内教授)
最低賃金を設けるのは難しいし、規制はいらない。本人の交渉力に任せるほうがいい。ただ、フリーランスの市場を育成するためには、緩やかな規制があり、相場を作っていくのはいいでしょう。腕がない人が自営業になるのはリスクがありますよね。セーフティネットに頼らずに腕で勝負していく人が関わるべきだと思います。フリーランス協会に期待されているのは、その注意喚起をすること

 

A.(平田さん)
仕事が属人的だからこそ、仲間でサポートできるような、「仕事を融通しやすいプラットフォーム」にフリーランス協会がなっていくのが理想です。

 

Q.準従属労働者を救う法律的な手立てはありますか?

A.(大内教授)
労働者の概念を拡張をしていく、という流れになります。理想は、準従属労働者の保護のニーズに限定して律法を作ること。解約規制などもあり得るでしょう。例としては、妊娠して契約の納期を守れなくなってしまった場合の保護があるといいですね。

 

A.(平田さん)
協会としては、今は経済的自立できていない人が会社員に戻ったり、もしくは今は自立できていなくても、今後は自立したいという覚悟がある人の支援はしていくつもりです。

Q.契約を適正に変えていくための現在のハードルは?

A.(大内教授)
企業の事業者と雇用者も実態は対等ではありません。消費者法も、弱い消費者と強い事業者という位置付け。交渉力の非対称性に着目することが課題でしょう。妊娠した時の対処法を契約書に書いておくことも大切。あり得ることを書いておきなさい、というチェックポイントを政府が開示していくことは必要。

 

Q.フリーランスだと対等な契約を結べないことがあります。例えば、個人に対してはお金を払えない企業は未だ多くて、対企業ではないとダメということもあるので、間にエージェントを挟んだり、会社を作ってもらったりして対処している。個人の身分の低さを感じているのですが…。

A.(大内教授)
それは大学でも同じです。保守的なメンタリティーが根深い。過剰なリスク回避をするのは日本企業ならでは。嘆かわしいことですね。

 

A.(平田さん)
企業側のマインドセットは必要。でも、今後は変わっていくと思います。正社員で人を採用するのは難しいから。「信用が低い=リスクがある」と思われているんですよね。そこで、発注者側のリスクもカバーされるのが、協会のベネフィットプランの良さ。リスクを回避する王道は保険です。

 

Q.信頼だけではなく、コンプライアンスの問題ではないでしょうか? 個人に発注すると、本当に実在するのか? というリスクもありますよね。業務上横領の素地になりかねない。協会が認定ワーカー制度を作れば、お墨付きのあるプロだと信頼が得られると思うのですが。

A.(大内教授)
フリーランス協会に所属していれば信頼できるという流れになるといいですね。個人の方が信頼できない、というのは合理性がないと思います。

 

A.(平田さん)
頼み方がわからないという発注者は多いのでしょうね。得体の知れない存在は扱いにくい、とされてしまう。企業側が、ジョブの切り出し方に慣れていない面があることも大きいと思います。

 

Q.社会保険の事業主負担について。事業主の負担がフリーランスにはないのはどうなのでしょうか?

A.(大内教授)
保険料負担については、結局労働力に転化されています。政府が過剰に雇用労働者を優遇してしまっているところがある。これが時代に合わない。社会保障システムの再構築が必要です。国民の健康リスクを政府がどういう形でカバーするのか、どんな社会システムが有効か、ゼロベースで議論をすべきでしょう。労災保険も同じ。保険料は全額使用者負担になっているんです。

 

いかがでしたか? 今回のラウンドテーブルを通じ、現行の法制度がいかに時代にそぐわなくなっているかを実感しました。今後も、このような議論の場を持ち、発信していくことは、フリーランス協会が目指す「誰もが自分らしく働ける社会」に近づくうえで、大きな一歩になるのではないでしょうか。

 

取材・文/児玉真悠子

 

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