現在、女性のがんで、急増しているのが乳がんです。若い方の罹患が増えているのは、食事の欧米化が原因とも言われています。一時期マスコミで報道が過熱していましたが、今日は、日本の乳がんについての疫学的な知識、そして早期発見のためにできることを、実際のデータを示しながらご説明していきます。

約9万人にも上る全国の乳がん患者

日本の乳がんの患者さんは、約9万人(2015年推定)と考えられています。そのうち、乳がんが原因で、1年間に死亡する方はおよそ13,800人いると推定されています(国立がんセンターがん対策情報センター『2015年のがん統計予測』より)。

 

家族に乳がんの方がいる場合は要注意

乳がんになりやすい一番大きな要因は「遺伝」です。家族で乳がんの方がいらっしゃる場合、これは非常に大きな因子となります。また、エストロゲンというホルモンにさらされている期間が長い方は、乳がんになりやすいことがわかっていますので、初潮が早かった人、閉経が遅い人も危険因子となります。また、成人してからの肥満も、原因の一つですが、何と言っても遺伝が一番大きいです。

 

受診に抵抗感?乳がん検診を受ける人は4割以下

乳がん患者が急増している一方で、乳がん検診を受けている方は4割以下と、非常に少ないのが実情です。その原因としては、「マンモグラフィに対する恐怖心」 「医療従事者が男性」 (2013年、内閣府『がん対策 世論調査結果』より)といった受診意識の問題があるようです。

 

マンモグラフィは生理前後を避けましょう

マンモグラフィという乳房を挟んで検査するレントゲンの検査は、生理前後の胸が張っている時などにやると痛みが強くなるので、その時期を避けると良いでしょう。その他に乳腺エコーも有用です。

 

毎日「自分で見て触ること」が早期発見につながる

乳がん検診を受けることも大切ですが、マンモグラフィは、若い方では発見率が下がることがわかっています。

まずやってほしいことは、自分での視診、触診です。毎日自分で見て、乳房にくぼみがあったり、手をあげると引きつれがあるような気がするのは危険です。また、自分で乳頭を絞り、ここから茶色い分泌物が出る、触って硬い感じ(痛みがないように優しく触りましょう)がする、などの症状がある場合は、専門医を受診した方が良いでしょう。

 

ただ、女性のみなさんならわかる通り、乳腺自体もボコボコしていますし、シコリは毎日触らないとわかりませんが、自分で発見できるのは乳がんだけ、と言われています。実際、90%の患者さんは、自分で発見して病院に来られているというデータがあります。まずは毎日の視診・触診から初めて見ましょう。

 

抵抗がある方は女性医療スタッフ担当の病院へ

現状では、女性の放射線技師も非常に増え、女性医師も増えました。乳がん検診を受ける際、男性医療スタッフに抵抗のある方は、女性医療スタッフが担当している病院を探して検診を受けましょう。

 

女性のがん年齢は30歳から

私が診療している内科でも、乳がんについて報道されると、急に病院に患者さんが殺到します。ネットで間違った情報を持って来てしまう方も多く、また、思い込みで、「乳腺が痛い」ということでいらっしゃる方もいます。

基本的に、報道を見てから急に痛くなったり気になったり・・・という場合、あまり心配する必要はないのですが、これを否定する気は全くありません。どんなきっかけであれ、検診を受けていただき、早期発見につながるのであれば、意味があります。

 

女性は30歳からががん年齢です。お住いの地域の自治体から乳がん・子宮がんの無料検診のお知らせが届いている方もいらっしゃると思います。ぜひ検診を受けてください。フリーランスは会社員と違い定期検診がないので、きちんと自己管理しましょう。

野尻紀代美
産業医(労働衛生コンサルタント)、内科(呼吸器)、日本ストレスチェック協会ファシリテーター

佐賀医科大学医学部医学科(現佐賀大学医学部医学科)卒。卒業後、東京逓信病院にて6年間、内科・呼吸器内科スタッフとして勤務。30歳のとき、3人で株式会社ヘルスケア・コミッティー起業。35歳で会社売却。この間、産業医・僻地診療、訪問診療などを経験。一児の母。
現在は産業医としてクライアント9社担当、僻地診療と東京での診療継続中。
趣味は散歩、水泳、自己逃避、読書。
https://www.facebook.com/westfield.consulting.Inc/

 

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