こんにちは!Waris共同代表の河です。

8月末から約1週間滞在したオランダについて、これから3回にわたりレポートしたいと思います。1回目である本日は、オランダの働き方にスポットをあて「パートタイム先進国の現状と、現状に至るまで」についてお伝えします。

 

今注目のオランダへ

オランダは「子どもが世界一幸せな国」「イエナプランなどのオルタナティブ教育が進んでいる国」「世界一のパートタイム先進国」などなど注目が集まっている国です。また、日本ではあまり知られていないかもしれませんが、首都アムステルダムはベルリンやエストニアと並び、スタートアップ先進都市として、世界中から独立・起業を目指す面白い人たちが集まってきています。旅行前、「なぜオランダに行くの?」と色々な人に聞かれましたが、“女性のキャリア支援・新しい働き方創造”を行う”スタートアップ”の代表としては、ぜひ現地を訪れて参考にしたい国でした。

 

オランダってどんな国?

ちなみに、オランダの国土面積は九州ほどの広さ。人口は九州よりやや多い約1700万人です(九州は約1300万人)。小国ですが、かつてはオランダ東インド会社が設立され、アジアをメインに貿易ビジネスを展開してきた国です。

 

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オランダ・ユトレヒトのシンボル「ドム塔」。ドム塔より高い建物は建ててはいけないそうです。

 

よく言われるのが「オランダ人は合理的」という言葉。ビジネスにシビア、無駄遣いをしない、という国民性があると言われています。また、特に秋冬は、くもりの日が多く16時ごろには日が沈み、毎日寒いということもあってか(すぐ北には北欧デンマークが位置)、夜は外出をせず、家で家族といる時間を充実させることにお金を使っている印象。街ゆく人のファッションなどはとてもシンプルですが、家の中をのぞくと(故意ではありません(笑)、オランダではカーテンは使わないようで、家の中が丸見えなのです!)とてもセンスの良い家具、インテリアできれいに整頓されています。

 

今、オランダは好景気まっさかり。移民が増えていることもあり、マンションが足りず地価が上がり続けているため、首都アムステルダムやオランダ第4の都市ユトレヒトなどに住もうと思うと、東京都港区レベルの家賃が必要になります…。

 

オランダの生産性は日本の1.2倍

そんなオランダでは、平日日中もカフェでくつろぐ男女を多く見かけます。時にはお父さんが子連れでカフェに入り、子どもの隣で新聞を読む姿や、お父さん・お母さんがそろって、そんなに早くない時間に子どもを自転車に乗せて走る姿もチラホラ。

 

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オランダ人が大好きなアップルパイ(Winkel47のアップルパイは絶品です!)

 

最初は「皆仕事してないの? 何している人たちなの? この国好景気らしいけど、こんなに働かなくて大丈夫なの…?」と目を疑いました(笑)。後述する通り、フレキシブルに働くことでこんな過ごし方も可能なようです。生産性が高いということですね(オランダの生産性は日本の約1.2倍。OECD34か国中オランダ6位、日本20位)(出典:日本生産性本部)。

 

オランダ人の多様な働き方

また、オランダは世界で最もパートタイム就労率が高い国です。女性は約6割、男性は約2割がパートタイム就労をしています(出典:OECD ※オランダでは週35時間以上が「フルタイム」、35時間未満はすべて「パートタイム」と定義されています)。また、フルタイムを選択していても、1日9時間×週4日勤務と変形して取得する人もいるため、統計数値として出てこない人たちも「柔軟な働き方」をしています。そういう背景もあり、日本で問題になっているような女性の「M字カーブ」問題はすっかり解消されています

 

ちなみに、子育て期が始まるころに働き方を変更する人は多いものの、結婚・出産前からフルタイムではない働き方や、フルタイムでも週4日勤務という働き方を選択する男女はいます。いずれにしても、勤務していない時間でパラレルワークをしたり、子どもと一緒にいる時間を作ったり、「自分が幸せに生きるためにはどうすればよいか」を考えて主体的に働き方を選択している個人が多くいます

 

なお、EU全体で1997年に「パートタイム労働指令」が制定され、オランダに限らずEU諸国ではパートタイム労働者の均等待遇を義務化する法律の整備が図られています。職務が同じであれば時間あたり賃金、福利厚生、社会保険などはフルタイムと変わりません

 

子育ては家庭でするべく時間をやりくり

とても興味深かったのは、父親、母親は週4日×9時間勤務やパートタイム勤務を駆使し、子どもを保育園に預けるのは週2-3日、といったケースが多いこと。「祖父、祖母の力も借りてまで、週5日子どもを保育園・学童保育に預けるのはかわいそう」「できれば家庭で育てるべき」という思想が背景にあるようです。日本とは逆に、フルタイムで子どもを保育園に預けて働く女性のほうが肩身の狭い思いをしていることも知りました(このあたりは2回目のレポートで詳しくお伝えします)。

 

「女性活躍先進国」オランダの歩み

このように今や女性活躍先進国に見えるオランダですが、1960年代までは日本と同じく(もしかしたら日本以上に?!)「女性は専業主婦になる」ことが当然視されていました。かつてオランダでは、宗派や思想信条ごとに形成された組織集団が生活の中心でした。日本で言う「村」ですね。村ごとに思想信条などが異なる中でも共通していたのは「女性=結婚したら専業主婦」という意識でした。

 

しかし時代の流れとともにこの「村意識」が弱まり、学生運動などの動きとあいまって、「自分のライフスタイルは自分で決める」という個人化が進みます。1966年には国も労働力不足と既婚女性の就労意欲上昇が起きている事態を把握し、「既婚女性が就労継続をできるようすべき」という答申を発表しました。1980年からは、家電などの普及により家事時間は減り、更に景気低迷からの脱却を図るべく実施された賃金抑制策により、家計補填をするために就労継続を希望する女性が急増しました。そしてついに2000年代に入り、結婚により退職する女性が少数派に転じるまでに至りました。

 

このように、オランダもつい50年ほど前までは、日本と同じような状況でした。また、当然ですが一気に変革が進んだわけではなく、女性の意識や社会情勢、制度変更などとあいまって徐々に今の状態になっていったんですね。

 

ということで、ひとまずはオランダの現状とこれまでを見てきました。いかがでしたか? 個人的には、今Warisで提供している働き方が「パートタイム先進国」と言われるオランダと比較してもいい線を行っているな、と自画自賛した旅行でした(笑)。

 

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ユトレヒトの運河とオランダ人が大好きなお花

 

次回は、(今回も少し触れましたが)この何の問題もなさそうな「幸せな国」が抱えるジレンマをレポートしたいと思います。お楽しみに!

 

(参考文献:中谷文美『オランダ流ワーク・ライフ・バランス 「人生のラッシュアワー」を生き抜く人々の技法』世界思想社

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河 京子
株式会社Waris共同代表

慶應義塾大学総合政策学部総合政策学科卒業。株式会社リクルートエージェント(現リクルートキャリア)で、企業と個人のマッチングや、大型採用を行う企業への、採用コミュニケーションプランの立案などを担当。リクルートキャリア在籍中の2013年4月、ハイスキル女性と企業とのフレキシブルなお仕事マッチングを行う株式会社Warisを共同設立。2014年6月にリクルートキャリアを退職し現職。
http://waris.co.jp/

 

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