24歳で自身の店をオープンしてから35年間、下着のフィッティングを通して多くの女性の心と身体に寄り添い続けてきた『リュー・ドゥ・リュー』オーナーの龍多美子さん。龍さんのフィッティング術に隠された仕事への信念、女性に伝えたい想いなどを3回にわたってお届けします。

連載1回目は、目からうろこの「正しいブラジャー」論。ブラジャーで人生が変わるって、一体どういうことなのでしょう?!

・第1回: 自分を変えたいのならまず、正しいブラジャーをつけましょう
・第2回:「今」に集中しましょう。不安からは何も生まれません
・第3回: 忙しくても「自分自身」と対話することを大切にしてほしい

— 長年にわたり下着をフィッティングしてこられた龍さん。多くの女性に共通するのはどんな印象ですか?

みなさん正しい下着を着けていないな、ということですね。そして、下着選びを誤っていることで、自分の美しさに気づいていない人も非常に多いという印象です。

 

正しい下着というのは、体を無理に補正あるいは矯正する下着ではありません。また、今の体のサイズにぴったり合わせすぎた下着でもありません。私が考える正しい下着とは、「本来の体に戻す」ための下着です。

 

もっと言えば、誰かと比較して自分の欠点に目を向けるのではなく、もともと女性一人ひとりがもっているありのままの美しさに気づいて、それを自信に変えてゆくためのツールが、正しい下着だということです。この考え方のもとに、私はメジャーを一切使うことなく女性をフィッティングしています。

 

— メジャーを使わずに測れるものなのですか?!

乳房はそもそも質感も形状も人それぞれでしょう。メジャーで数カ所測るだけでは判断できません。まずは、その人の骨格を知り、その人の本来の体をイメージしたうえで、そこへ戻るために適したサイズを判断するのが重要なのです。

 

そうすることで、すべての女性達が一瞬で輝きを取り戻す姿を、私はこれまでの経験において見てきました。ですから、下着を使って女性の意識を変えること、私今生の使命だと思っています。

『リュー・ドゥ・リュー』オーナーの龍多美子さん

龍 多美子(りゅう・たみこ)

1957年東京生まれ。高校時代から下着の魅力に惹かれ、ランジェリーショップでのアルバイトを経て82年に独立し「リュー・ドゥ・リュー」を開業。現在は吉祥寺本店の他に全国11都市で定期的な販売会を開催中。的確なサイズ判断とカウンセリングで、オープン以来のべ7万人以上の女性たちの身体と意識の変革に寄り添い続けてきた、業界のオピニオンリーダー的存在。下着専門店などのコンサルティング業務や、業界の人材育成のための講座運営する傍ら、各種セミナーなどで下着を通した女性の自己実現を説く。
http://www.ruederyu.com/

— 下着で意識まで変えることができるとは、おどろきです

それは、女性が抱えるコンプレックスに関わっています。多かれ少なかれ、誰にでもコンプレックスはありますね。なかでも女性に多いのは、やはり「胸」に関する悩みです。

 

胸ってすごくふしぎなパーツで、自分のものではあるけれど、半分は公のもの、みたいなところがあるんですね。というのも、例えば仕事で初対面の人に会う時、「はじめまして」と顔を向かい合わせたその視野に、どうしても胸は入ってきます。嫌でもその人のキャラクターとくっついてしまうパーツであるがゆえに、コンプレックスを感じやすい部分なのです。

 

— 確かに、無意識にもコンプレックスを感じてしまう部分ではありますね

でも逆に考えれば、「胸」へのコンプレックスを無害化することで、自分に対する意識や価値観もがらりと変えられると私は思っているんです。大げさでなく、を変えていくことによって、自分と社会関わりまでよい方向に変わっていきます

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コンプレックスに感じていることって、実はまったく根拠がなかったり、すごく他愛のないことだったり、よく考えればナンセンスなことが多いものです。「私は胸が小さい」と思っている場合、物理的に何をもって小さいとしているのかといえば、とくに基準があるわけではない。実際の大きさの問題ではなく、「胸が小さいに違いない」という推測に、卑屈な気持ちが巻き付いて膨らんでしまっているだけなんです。

 

ですからコンプレックスという、ある意味すごくバーチャルなものを砕くために、私のフィッティングでは、まず現実の今の体としっかりと向き合ってもらようにしています。

 

そのうえで、「本当の体はこうなのよ」と正しい下着を着けてもらうと、みなさん「これが私だったの?」とひっくり返って、瞬く間にコンプレックスが消えていきます。数えきれない女性が、そうやって変わってきました。

 

— ブラジャーで自分を変えることができるなんて、考えもしませんでした!

そうですよね。そこまで変わるの?と半信半疑の方もいるかもしれませんが、変わるんです。なんだ、私って素敵かも気づくことができれば、たたずまいから姿勢、何から何まで自然と変わっていき、不思議なことに本来その人がもつ美しい体に戻っていきます。ですから、言ってみれば下着は本来の自分にたどり着くための飛び石ですね。その飛び石を必要な箇所に置いてあげるのが、私の役目だと思っています。

(第2回に続く)

 

取材・文/横山さと(Cue powered by Waris編集部) 撮影/工藤朋子

 

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