医療業界は女性の割合が高く、出産後も仕事を続ける看護師や助産師が多いようです。けれど、医師に限ってはちょっと事情が異なります。長年、フリーランスの産業医・内科医として活躍する野尻紀代美さんに、医師の働く環境、そしてフリーランスとして働く魅力を教えていただきました。

お母さん医師の多くが、「フリーランス」の道へ

医師という仕事は、緊急オペが発生すれば勤務時間外でも対応しなければならないし、どうしても不規則になりがちです。そのため、産後に勤務医を続ける医師は、非常に少ないのが現状です。もちろん、勤務医としてバリバリ働くお母さん医師もいますが、大抵の場合、両立は困難を極めます。子どもの保育園のお迎えや病気を理由に、診察やオペを断ることなどできませんからね。

 

お母さん医師の多くは、産後に開業したり、勤務医であっても残業が少ない、当直がない科に移動したり、フリーランスの医師に転身したりと、産前とは異なる働き方をしています。ただ幸いなことに専門職ゆえ、組織に属さなくても一人でやっていけるし、僻地医療に携わるなど、場所にも縛られず働けます。

 

そんな働き方は、今でこそ「フリーランス」と呼ばれますが、お母さん医師の世界ではずっと前から「フリーランス」が当たり前の選択肢としてありました。今では、「組織にとらわれず自分の能力を生かしたい」とフリーランスの道を選ぶ男性医師も増えていますが、女性医師がフリーランスになる理由は「仕方なく」というケースが多かったのです。

 

フリーランス医師として歩んできた20年を振り返り、今思うこと

私が勤務医として働いていた20年ほど前までは、「組織(医局)に属したくない」という感覚を持った医師は周りにほとんどいませんでした。そんななか、病院を辞め、一人で仕事をすると決断することは勇気がいることでしたし、大きなストレスも伴いました。

 

けれど、この20年、フリーランスになったことを後悔したことはありません。一人だからこそできたことがたくさんありましたし、何より面倒なしがらみから解放され、自由な働き方、時間を手に入れることができたからです。ただ、自由である反面、孤独も付きまといます。だからこそ、フリーランス同士のネットワークや集える場を作ることは、とても大事だと思います。

 

今の時代、一度フリーランスになっても、実力があれば、いつでもまた組織に戻ることができますし、その時々で自由に働き方選ぶことができます。つまり、すべて自分次第。

フリーランスにとって一番必要なのは、自らを信じる力なのかもしれません。

野尻紀代美
産業医(労働衛生コンサルタント)、内科(呼吸器)、日本ストレスチェック協会ファシリテーター

佐賀医科大学医学部医学科(現佐賀大学医学部医学科)卒。卒業後、東京逓信病院にて6年間、内科・呼吸器内科スタッフとして勤務。30歳のとき、3人で株式会社ヘルスケア・コミッティー起業。35歳で会社売却。この間、産業医・僻地診療、訪問診療などを経験。一児の母。
現在は産業医としてクライアント9社担当、僻地診療と東京での診療継続中。
趣味は散歩、水泳、自己逃避、読書。
https://www.facebook.com/westfield.consulting.Inc/

 

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