フリーランスで働く女性にとって、欠かせないのが「自己管理」。自分の体と心の健康を、自分自身で守らなければなりません。そこで、フリーランスの産業医・内科医として活躍する野尻紀代美さんに、歳を重ねても元気に働き続けるための方法を教えていただきました。

突然の病気で救急搬送。ICUに入院

こんにちは!

と、皆様に書ける状態になったことを、本当に嬉しく思います。というのは、私はこの2ヶ月近く、脳炎で入院し、その後自宅療養をしていたのです。

 

とは言え、フリーランスの我が身、仕事をしないとお金は入ってきません。

完全に回復するにはもう少し時間がかかるかもしれませんが、主治医と相談し、自分の体と向き合いながら、ちょっとずつ、なんとか仕事ができるようになってきました。

今日は皆様と一緒に「フリーランスが病気になったら」というテーマについて考えていこうと思います。

 

「医者の不養生」とはよく言いますが、今回私は急に意識を失って救急搬送になり(1月くらいから、なんだか調子が悪いなあ、という感じは続いていたのですが。この1月から3月で、クライアントが急に増えて、それも結構しんどかったのかもしれないです)、ショックを受けた子どもは救急車嫌いになってしまいました。

 

病院ではICUにまで入ることになり、家族は医者から「死ぬかもしれない」というような話もされたようです(と言うのは、夫が私に、いきなり「会いたい人はいないか」と聞き、「ああ〜これは死ぬかもって言われたんだなあ〜」と、医者の意識がちょっと残っている私は思ったのであった)。

 

長いお付き合いがあるクライアントの皆さんにも心配をおかけし、大事に大事に扱ってもらって、本当にありがたい限りです。

結局、脳炎の原因は不明のままなのですが、今は薬も飲まず、休み休みではありますが、なんとか頑張って仕事をこなせるようになってきました。

 

現在はこのように普通にタイピングもでき、一見何の後遺症もないように見えますが、実はまだ記憶の一部が回復していなかったり、倒れる以前はできていたことができなくなったりしています(もともと苦手だったことがさらに苦手になったというレベルですが)。

長時間の仕事やタイトなスケジュールに追われると、急に転んだり、めまいがしたりすることもあります。

 

緊急連絡先を周囲に伝えておく

フリーランスというのは、日ごろの自由さの反面、こういう時にはどこに連絡すればいいのか、周囲が本当に大変だったようです。幸い、会計士さんや主人が請求書などからなんとか連絡先をたどり、クライアント先に電話することができましたが、一箇所抜けてしまったところがあり、そちらでは「野尻さんが行方不明!!」と、大騒ぎになってしまったそうです。本当にごめんなさい…。

 

というわけで、今回私が皆さんと共有したい教訓は、「急に倒れたりした時に連絡するところを周りの人に伝えておく」ということです。

スマホもあるし、メールくらいできる…と思ったら大間違いで、特に私のように脳の病気になった場合は、はっきり言って何もできません。液晶を見ることもできなければ、クライアント先の名前も思い出せないのです。

 

パソコンの横など、分かりやすい場所に、連絡先をきちんと書いておくべきだなあ…と痛感しました。

 

命より大事なものはない!「当たり前」の日常のありがたさ

私はフリーランス10年選手ですが、実はフリーランスになろうと思ったきっかけも「病気」でした。会社を経営していたときに、うつ病を発症したのです。

健康管理を仕事にしている自分が仕事でうつになるって変!と流石に気づき、時代の流れもあって、会社を売却しましたが、当時は取締役だったので、どんなに辛くてもやめるわけにいかず、本当にしんどかったです。

 

そんな経験から、自分の体力の限界はわかっていたつもりなのに、今回の失態はお恥ずかしい限りなのですが、「命より大事なものはないなあ」と、医師ながらあらためて痛感した次第です。

 

現在、産業医の仕事はほぼすべて再開しています。ただ、万が一間違いがあるといけないので、まだ臨床はお休みさせてもらっています。ずいぶん楽をしているつもりですが、無理をするとすごーく気分が落ち込んだり、疲れて何にもできなくなってしまうので、家でぼんやりする時間も大事にしつつ、ゆっくり進めています。

 

この原稿を書きながら、「よし、明日からプールに行こう!」と思っています。

入院していた時、人は「テレビを見る」とか「運転をする」とか、ふだん何気なくやっていることにも、すごく脳を使っているんだな…と実感しました。

名前も書けなくなっていた私が、音楽が聞こえるようになり、桜が見られるようになり、歩けるようになり、そのありがたさに気がつきました。

 

疲れたら、まず休む。フリーランスの健康管理

私のように倒れてしまうのは極端な例かもしれませんが、フリーランスの皆さんも、忙しくて「あーしんどいな」と思ったら、休むことがホンットーーーに!大事です。私の脳炎は、結局「疲れ」くらいしか原因がわからなかったのですが、自分で自分のコントロールをするのは、本当に難しいですね。

 

私の場合は退院後、お休みをもらって、大好きなグアムに行き、毎日泳いでリハビリをし、だいぶ元気になりました。もちろん、わざわざ海外に行かなくても、体のためにできることはたくさんあります。楽しくご飯を食べたり、景色を楽しんだり、ちょっとしたことが心の余裕につながります。

 

仕事はともかく、家事なんて完璧にこなせなくてもいい。洗濯物が気になっても、とりあえず脇に置いておいて、早寝早起き、無理をしないことを心がけ、しっかり生活の基盤を作っていくことが、今の私の目標でもあります。そして「おかしいな」と思ったらまず寝ること。皆さんも、心のどこかに留めておいてくださいね。

 

したいことができる幸せ、仕事をしてお金がもらえる喜びは、本当にかけがえのないものです。フリーランスの皆さんも自分一人で仕事を抱え込まず、疲れたらとにかく休む! を心がけてください。そしてクライアントの連絡先は他の人でもわかるように…はい、本当に苦労しました(笑)

野尻紀代美
産業医(労働衛生コンサルタント)、内科(呼吸器)、日本ストレスチェック協会ファシリテーター

佐賀医科大学医学部医学科(現佐賀大学医学部医学科)卒。卒業後、東京逓信病院にて6年間、内科・呼吸器内科スタッフとして勤務。30歳のとき、3人で株式会社ヘルスケア・コミッティー起業。35歳で会社売却。この間、産業医・僻地診療、訪問診療などを経験。一児の母。
現在は産業医としてクライアント9社担当、僻地診療と東京での診療継続中。
趣味は散歩、水泳、自己逃避、読書。
https://www.facebook.com/westfield.consulting.Inc/

 

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