6月28日水曜日、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会によるトークイベント「時短・フリーランス・副業(複業)・・・ 多様な人材活用でイノベーションを創出するには?~「週5フルタイム・フルコミット」ではない人材を活かす方法~が開催されました。その模様をご紹介します。
(一般社団法人at Will Work http://www.atwill.work/

 

団塊世代のリタイヤ、少子化の加速、そして、キャリア女性の結婚・育児退職と困難な復職事情…と、年々、労働力枯渇の危機感が迫る中、企業はこれまでとは違った方法で労働力を得る仕組み作りを模索しています。

今回のイベントでは、フリーランスや副業(複数)社員、時短社員など、多様な働き方を求める人材を組み合わせて事業成功につなげている企業と、そういった人材と企業をマッチングしている企業の方が登壇。活用例と運用法について、ポイントや危惧される問題点の解消など、参加者からの質疑応答を交え、活発な意見交換がありました。

 

第1部には、「新規事業の立ち上げにプロの力が必要」と、フリーランスの広報担当の採用を実現させたGEヘルスケア・ジャパンの田村氏、「社員の得意領域が複雑する化する事業とマッチしなくなってきた」ことで、フリーランスのコンサルタントを投入したイーウエルの間瀬氏、そして、「専業禁止」をうたい、社員の副業(複業)を奨励しているエンファクトリー代表の加藤氏が登壇。現場担当者の目線から、フリーランスの活用の実践方法を紹介しました。

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創業125周年を迎えるグローバル企業GEのグループ会社、GEヘルスケア・ジャパン。田村氏は、「弊社は世界に32万人の人材がいて、働き方も様々。女性の活用にも積極的で、フリーランスを登用しやすい土壌があった」とコメント。自身も、産休、育休を所得しながら仕事を続ける中で、「子育てをしながら最前線で働くのは難しい」と実感すると同時に、「フリーランスとしてなら、スキルやキャリアを十二分に生かせる人がいるのでは」という結論に行きついたそう。

田村氏がフリーランスの採用に踏み切ったのは、新規事業のプロジェクトマネージャーを任されたとき。「そもそもの人材が足りていない状況でした。限りある予算のなかで、すぐに結果を出さなければいけない。しかも、進めてみて、事業の見通しが立たなければ中止もありえる。つまり、継続的に雇用できるかどうかわからないという状態です。でも、人材は絶対的に必要。そういったピンチな状況の中で、プロとして仕事を任せられ、期間契約ができるフリーランサーは、頼もしい存在でした」といいます。

 

「もともと外注化の方向で進んでいた新規事業を自社で行うことになったという経緯があったため、フリーランスの採用にさほどの躊躇はなかった」というのは、企業の福利厚生のアウトソージングを担う企業、イーウエルの間瀬氏。「正社員の給与の5倍という報酬には、多少なり、社員からの反発があったが、それだけのバリューがある」という発言には、会場からどよめきが。参加者からは「フリーランサーをどのようにして評価をしているのか」という質問も飛び出しました。
これについて、「基本は納期と完成物」と答える間瀬氏。そして、「なれ合いができてしまうと、適正な評価ができなくなってしまいます。まず、レイヤーをつくること、そして一定の距離感をもって向き合うことが重要になります」と言葉を重ねます。さらに、「フリーランサーの活用には、社内でどの業務に人手が足りていないのか、必要なのか。業務委託する側が確実に認識していることが大前提」とコメント。両隣に座っていた田村氏、そしてエンファクトリーの加藤代表も大きく頷きます。

 

次にマイクを持った加藤氏は「企業に入って頑張って働いていればなんとかなる、という時代は終わった」と発言。「これからは自分自身の人生をデザインできる力、生きる力が必要。そのために、エンファクトリーは事業とメンバーのためのプラットフォームでありたいと考えています」。だから、専業禁止。副業(複業)によって、自己実現の機会提供を担うことを掲げているそう。

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参加者からの「会社の代表として、副業(複業)によって、自分の会社の営業利益が損なわれる危惧はないか」との質問には、「半年に1度、副業(複業)の状況発表をするというルールを設けています。小さい会社なので、社員全員、誰が副業(複業)で何をやって、どれくらい儲かっているかということを共有している。副業(複業)の報酬をオープンにすることで、社員間同士の風通しもよくなります。そして、隠し事がないから、本業を真面目にやってないんじゃないかという、うがった見方はしなくなるんです。もちろん、会社の運営方針、ミッションに共感してくれていること、というのが第一ですが」と回答。加藤氏の言葉に、メモをとる参加者の姿も見られました。

 

第2部では、文系総合職のフリーランサーのキャリアをサポートするWarisの代表取締役で共同創立者の田中美和氏、日本最大のスポットコンサルプラットフォーム ビザスクの田中亮氏、2015年に女性活躍推進支援のブーケを設立した高橋玲衣氏さんが、マッチング企業運営の目線で、フリーランサーの活用を指南します。

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約3000名の文系総合職キャリアの会員をもち、1200社との業務委託契約をマッチングさせるWarisの田中氏は「最終的には自社内で事業を完結させたいと考えている企業こそ、フリーランサーを活用するメリットがあります」と説明。

「たとえば、社内にPR部門がない、編集者がいない、でも、予算との兼ね合いとコンプライアンスの観念から内製にしたい。そういう企業様は少なくありません。でも、専門性の高いフリーランスにスタートアップ業務を委託すれば、内製にするためのフローを短期で制作し、納品することも可能です。それをもとに、内製に成功している企業さまが増えています」。
また、経理、労務ができるフルタイムで働ける正社員採用がなかなかうまくいかなかった企業には、週2ずつ、2名で代替する管理部門を確立することを提案。優秀なフリーランスの活用で、効率よい仕組みをつくりあげたという事例も紹介。

 

しかし、まだまだフリーランスの採用に二の足を踏む企業も多いそう。

「戦力外女子をつくらない」をモットーに、企業と、結婚、出産前の働く女性の両立支援として、一般職の職域拡大プログラムや女性リーダー育成プログラムを提案しているコンサルティング事業 ブーケ代表の高橋氏は、「フリーランスを採用したいと思っても、事業の切り出し方がわからない、何をアサインしたらいいのか整理できない、という悩みを挙げる企業さんは少なくない」と言います。

そういう場合にはどうしたらいいのか、という参加者からの質問には「組織改善の一環として、棚卸を外注してみるのも手」とのアドバイスが。「ワンストップでつながっているようにみえる業務や、複雑に絡み合っていると感じる業務でも、切り出しはできます。いったん、外からの目を入れることで、明確になることもあります」。

一方、「スポットコンサルは、企業が最もフリーランスの能力を活用しやすいしくみのひとつだと思う」というのはビザスクの代表、田中氏。新規事業立ち上げなどの最初の情報収集やブラッシュアップなどの際に、自分たちのネットワークでは見つけられない人材と、単発で仕事が発注できます。

「経験がマッチしていることが最も重要なので、面接時には人物評価を取り除いています。このマッチング事業を3年続けていますが、全然話が違うじゃないか、というクレームはないですね」とのこと。ビザスクの場合、「3人に聞いたら、ひとりは間違いなく当たる、というくらいの高確率」だそう。
とはいえ、フリーランスの採用では「経歴は立派でも、実際に仕事をしてみたら、期待はずれだった」ということもあるようです。

これに対し、「何を成果にするのか、成長支援をしながら、フリーランスの評価、方針を決めていくのも、マッチング企業の使命」とWarisの田中氏は言います。また、ブーケの高橋氏からは「採用側のマネジメントスキルも重要になってきます。フリーランスを業者扱いしてしまうと、モチベーションが下がってパフォーマンスに繋がりません。パートナーとして付き合う、フリーランサーの働き方へのビジョンの共感も大切です」と、委託する企業側へのアドバイスもいただきました。

 

時間をオーバーしてしまうほど質疑応答が盛り上がり、終了後の自由参加の交流会では、登壇者の方々に直接の相談をしている参加者も多く見られました。

専門性の高い優秀なフリーランスの活躍の場が広がれば、またひとつ、新しい働き方が確立します。その潮流の目を感じることができた、充実したイベントでした。

 

取材・文/簗場久美子

 

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