「今忙しいから」「後でね」「また今度ね」

仕事と家事に追われる毎日の中で、子どもに向かって、ついそんな言葉を連発していませんか?

罪悪感を抱いているママも、だいじょうぶ。モンテッソーリ教育の専門家、荒井聖子さんに、時間のない保育園ママでもすぐに実践できる子どもの心の育て方を教えていただきました。

 

Q 子どもが料理を手伝いたがります。やらせてあげたい気持ちはあるのですが、急いでいるし片付けが大変なので、つい「今度ね」と言ってしまいます。

たとえば子どもと一緒に生地からクッキーを焼こうと思うと、小麦粉は散らかるし手や服が汚れるし、本当に大変。でも、実は、子どもが求めているのはそんなに大げさなことではないんですよ。

 

ママがごはんを作っている間、ほんの5分で構いません。「キャベツをちぎっておいて」とボールに入れたキャベツの葉っぱを渡し、ママの横で「お仕事」をしてもらいましょう。ポイントは「お手伝い」ではなく、一人の人間として仕事を任せるということです。

 

多少大きさにムラがあってもいいじゃないですか。おみそ汁に入れて、食べてしまえば一緒です。ほかに、玉ねぎの皮むきや、レンジでチンしたじゃがいもをつぶす作業も子どもの得意分野です。子どもは包丁を使いたがりますから、チンしたニンジンの底を平らにして、テーブルナイフで切らせてあげるのもいいでしょう。

 

危ないから…と子どもをキッチンに入れることを躊躇するママも多いですが、小さなシートを敷くなど特別なスペースを作り、他の物が邪魔しない場所で作業をさせるといいですよ。すごい集中力で、一生けんめい仕事をしてくれるはずです。

 

Q 忙しいときに限ってかまってほしがる子ども。「今忙しいから」「後でね」を連発し、子どもの寝顔を見ては自己嫌悪に陥る毎日です・・・

週末に「寝だめ」ができないのと同様、子育ても「後でまとめて子どもと向き合う」ことはできません。大人は「いつか、時間があるときにかまってあげよう」と考えているかもしれませんが、子どもは今、この瞬間、親の関心を必要としているのです。

 

学校や保育園でいやなことがあったときなど、子どもなりに気持ちがざわついたり、心が荒れている日があるものです。子どもが必要とするとき、その場ですぐにかまってあげることが子どもの安心感につながり、人格形成を促します。

 

あらたまって「何があったの?」なんて聞かなくてもいいんですよ。たとえば一緒に料理をしながら、「春キャベツの葉っぱはやわらかいでしょ」などとたわいのない話をしている間に、子どもの心が自然とひらいてくるんです。会社で嫌なことがあったとき、女友達と仕事と関係ない話で盛り上がってスッキリした経験、ありませんか? 子どもも同じです。大好きなママと一緒に手を動かしてとりとめのないおしゃべりをする時間が、大切な気分転換になるんですよ。

 

Q 仕事が忙しく、夕食の支度をする時間がありません。子どもには、バランスのとれた食事をとらせたいと思っているのですが・・・

日本のママは本当に真面目です。仕事をして、家事をして、毎日きちんと料理を作って…では息切れしてしまいますよね。私は食育インストラクターという資格を持っていますが、栄養バランスは、1日ごとではなく1週間単位で考えれば十分です。毎日手の込んだ一汁三菜を用意する必要はないんですよ。

 

「今日は何にもしたくない!」という日の夕食は、「遠足ごっこ」をおすすめします。子どもと一緒におにぎりを握って、あとは具沢山のおみそ汁があれば十分。部屋の中にビニールシートを敷いて食事をすれば、いつもと違う雰囲気に子どもは大喜び。ママは手抜きができます。

 

育児で一番大切なのは、「ママが笑顔でいること」。ママが笑っていられるなら、少しくらい部屋が散らかっていても、夕食が手抜きでもいいじゃないですか。疲れすぎてどうしても笑えないときは、お箸をくわえてみてください。口角が上がると、脳が「楽しい」と勘違いして、幸せホルモンが出てきます(笑)

 

Q 子どもが夜なかなか眠らず、朝はぐずぐずして起きないのですが、早寝早起きの習慣をつける方法はありますか?

絵本の読み聞かせをするといいですね。毎日決まった「儀式」があると、子どもは頭を切り替えやすくなります。夜眠る前だけでなく、朝、なかなか起きてこないときや、保育園に行くのを嫌がるときの「朝読書」もおすすめですよ。

 

「それでなくとも朝は時間がないのに…」と思うかもしれませんが、ぐずる子どもを起こしたり、泣いている子どもを無理やり保育園まで連れていったりする時間と労力を思えば、たった3分間、子どもを膝にのせて絵本を読む方がずっと楽だと思いませんか?

 

子どもの年齢に合わせて、むずかしい絵本や、ためになる絵本を読まなくちゃ…なんて考えなくてもいいんですよ。子どもの発達に合わせた絵本は、保育園や幼稚園で先生が読んでくれますから。家での読み聞かせは、「ママの好きな絵本を、ママの声で読む」のが一番です。

 

たとえば5歳の子に、赤ちゃん絵本を読んだってかまわないんです。おすすめは、『ちびゴリラのちびちび』(ほるぷ出版)という絵本。要約すると「森のみんなはちびちびが大好き」というだけの、素朴な絵本なのですが、ベストセラーとして長く愛されています。ポイントは、「大好き」という言葉が何度も出てくること。この絵本を読むと、ママがどんなに疲れてイライラしていても、子どもはママの「大好き」という声を何度も聞くことができて、とても安心するんですね。

 

読み聞かせは、心のスキンシップです。「子育てに疲れたな」「仕事との両立が大変すぎて子どもをかわいいと思えない」というときこそ、「大好き」「あなたが大切」など、子どもに伝えたい言葉が入っている絵本を活用して、うまく助けてもらいましょう。

 

取材・文/高橋実帆子(Cue powered by Waris編集部)

SakuraEdu代表 コドモンテワークショップ主宰 荒井聖子荒井聖子

SakuraEdu代表 コドモンテワークショップ主宰

株式会社資生堂に勤務した後、目黒区民講座講師、パルシステムワークショップファシリテーター、幼児教室ICEモンテッソーリアルベーロのコンサルティングなどの活動をしながら、通算100回以上の親子向けワークショップを開催。日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師。NPO日本食育インストラクター協会食育インストラクター1級。芸術教育研究所上級絵画インストラクター。日本アロマ環境協会アロマテラピーインストラクター。
http://sakuraedu.net/

 

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問い合わせ先 arai@sakuraedu.net

 

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