フリーランス女性が、出産を経て仕事を続けようとするとき、直面する産休・育休の問題。フリーランスには産休や育休がなく、「出産手当金」や「育児休業給付金」も受け取れないという現実があります。

 

休業中は収入が途絶えてしまうことに加え、子どもを保育園に預ける上でもさまざまな壁があるため、十分に体を休める間もなく仕事に復帰する女性が少なくありません。

 

「上の子退園」問題についてお伝えした前回(http://cue.waris.jp/2838.html)に引き続き、今回はフリーランスが保活をする上で直面する困難について、再びフリーランス女性Aさんの事例から見ていきます。

 

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2人目出産を前に区役所の窓口を訪れ、「産後2ヶ月で仕事に復帰しないと、上のお子さんに保育園を退園してもらうことになります」と宣告されたAさん。

 

「まだ体調も安定しない時期に仕事を再開するなんて…」と一度は仕事を続けることをあきらめかけましたが、夫が「できる限り協力する」と約束してくれたこともあり、「産後、できるだけ早く仕事に復帰しよう」と決意しました。

 

無事に長男を出産後、すぐに保育園探しを始めますが、そもそも生後2ヶ月から子どもを預かってくれる保育園が限られている上、認可保育園は数百人の待機児童が名前を連ねている状態。年度途中での入園は現実的ではありません。

都の認証保育園や認可外保育施設にも問い合わせましたが、どこも定員はいっぱい。仕方なく、自宅で長男の世話をしながら少しずつ仕事を再開することにしました。

 

日中、子どもが眠っているわずかな時間や、夜の睡眠時間を削って仕事をするようになったAさん。産後の疲れもあり、育児と仕事の両立は決して楽ではありません。長男が1歳になる来年の4月には何とか保育園に入園したいと、再び区役所に足を運びました。

 

区役所で手渡された保育園の入園書類には、「利用調整基準」という指数表が添付されています。この指数を基に、保育園に入園できるかどうかが決まるのです。

 

Aさん「育休明けで仕事に復帰する場合、2点の加点がもらえるのですね」

区の職員「はい。しかし、自営業の方はそもそも『育休』という概念がないので、加点の対象になりません

 

A「でも、私は既に仕事を再開しているんですよ」

職員「都の認証保育所や、ベビーシッターを利用していますか?」

A「いいえ。認証園はどこもいっぱいですし、ベビーシッターは値段が高くて頻繁には利用できません」

職員「申し訳ないのですが、ご自宅でお子さんを見ながらお仕事をしている場合、さらに1点の減点になります

 

Aさんの住んでいる地域では、1歳児クラスに入園を希望する子どもが非常に多く、1点の違いが、入園の可否を大きく左右します。たかが1点かもしれませんが、Aさんにとっては、仕事を続けられるかどうかの分水嶺になる大きな1点です。Aさんは怒りを抑えて聞き返しました。

 

A「つまり、産後2ヶ月で、やむを得ず自宅で子どもをみながら仕事を再開したフリーランスより、1年間育休を取得して、仕事に復帰する正社員の方が、認可保育園の入園には有利ということですか?」

職員「はい、そういうことになります」

 

産後すぐに仕事を再開しなければ上の子が退園になると聞いたから、下の子の保育園が見つからないまま無理を押して仕事に復帰したのに、今度は自宅で働いていることを理由に、下の子が保育園に入れない――

 

あまりの理不尽さに、Aさんは言葉を失って呆然とするばかりでした。

 

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多数の待機児童を抱える自治体は、育休から復職する親の便宜を図るため、認可保育園の入園基準で「育休明け加点」の制度を設けている場合があります。

もともと、仕事と育児を両立する人を応援するためのしくみなのですが、現行の認可保育園制度は、「夫婦二人ともフルタイム正社員」というモデルケースを基準に作られているため、結果的に、自営業者に不利になってしまうのです。

 

育休明け加点のほかにも、自治体によってばらつきはありますが、自宅で子どもを世話しながら仕事をする「同伴就労」によって入園の優先順位が下がったり、自宅をオフィスにしているだけで、そもそも基本の点数が低くなってしまう場合もあります。

 

フリーランスのような新しい働き方をしたい子育て/プレ子育て世代の現状に、制度が追いついていないと言えるのではないでしょうか。

 

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「働き方改革」を推し進めるために、私たちは各自治体に対し、育児休業制度を利用できない自営業者が、子どもの認可保育園入園に際し、育休から復帰する会社員と同等の扱いを受けることを強く求めます。

 

具体的には

1)自営業者でも、産後1年程度の育児期間を経て仕事に復帰する意思があれば、会社員同様、上の子の保育園退園を免除する

2)自営業者が産後1年程度の育児期間を経て仕事に復帰する場合、入園審査の利用調整指数を、育休から復帰する会社員と同様に加点する

3)認可保育園に入園申請をし、保育の必要が認められた子を持つ親が、待機児童が多いため希望の保育園に入園できず、やむを得ず自宅で保育しながら仕事をしている場合、「同伴就労」「自宅就労」を理由に調整指数を減点する項目を廃止する

 

【注】Aさんのストーリーは、複数の事例を基に編集部が構成したフィクションです。

認可保育園入園の審査基準や加点・減点の内訳は、自治体によって異なります。

 

文/ライター 髙橋実帆子

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