昨年、「健康系まとめサイト」が不正確な記事を掲載し、著作権を侵害していたことが問題になりました。誰もが情報発信できる時代ですが、もし、あなたの書いた文章が誰かに害を与えてしまったとしたら…大変ですね。そこで今回は、プロライターの立場から、人を傷つけないライティング術についてお伝えします。

 

いい加減な文章は自分に返ってくる

ブログやSNSの普及により、誰もが「文章」で情報発信できる現在。「書いた文章が人に迷惑を掛けることがある」という事実が、逆にイメージしにくくなっているのかもしれません。しかし、ちょっと想像してみてください。

文章の書き手が加害者になってしまったら、どんな不幸が待ち受けているでしょうか。

 

たとえばイベント告知で、会場への順路を説明する文章や時間の説明が間違っていたら、来場者を混乱させてしまいます。有料イベントの場合は返金騒ぎになり、主催者にも迷惑を掛ける結果になるでしょう。

健康情報でも、同じようなことが起こります。もし「1日3分スキップするだけですべての病気が100%防げます」というウソの健康情報を発信し、それを信じた読者が実践し、病気にかかってしまったら? 以下のようなリスクが考えられます。

 

・読者への直接の迷惑

・サイト運営側への迷惑

・書き手の信頼の失墜

 

読者への直接の迷惑はもちろん、読者からのクレームや炎上によるサイト運営側への迷惑など、影響は深刻です。

場合によっては返金や賠償、裁判などに発展することもあるでしょう。書き手として責任を負い、賠償金を支払うという事態も考えられます。

 

さらにフリーランスにとって一番怖いのが、書き手本人の信頼の失墜です。業界内での信用がなくなり今後の仕事の継続が難しくなれば、経済的な影響はもちろん、精神的ダメージも大きいでしょう。

何気なく書いた文章でも、いい加減な情報を垂れ流せば、その代償は余りに大きいのです。

 

加害者にならないためのライティング術

1)他人が書いたものを流用しない

健康系まとめサイトが非難を浴びた理由のひとつに「情報が不正確だった」という事実があります。なぜ情報が不正確になってしまったのか。それは、書き手が、他人が作った情報の一部をそのまま流用していたからではないかと私は考えます。

 

結論の一部、センセーショナルな部分だけを寄せ集めることで、コンテンツの体裁は整います。しかしそれはあくまでも体裁だけ。切り貼りする過程で内容がデフォルメされた結果、もともとのコンテンツの内容は大きく歪み、事実と異なる文章が出来上がることになります。

 

ちなみに他人が作ったコンテンツの一部を、出典を示した上で自分のコンテンツのなかに「引用」するのは悪いことではありません。他人が創ったコンテンツをそのまま持ってきて、あたかも自分が作ったように見せかける「流用」が問題なのです。

 

検索サイトにキーワードを入れれば、世界中のあらゆる情報にアクセスでき、数回のクリックで簡単にコピー&ペーストができる時代だからこそ、情報を発信するときは、「コピペではない情報に価値がある」ということを肝に銘じましょう。

 

書き手のブランド力を高め、事業を成長させるためにも、手間を掛けてオリジナルの文章を書くことは重要です。

 

2)情報の裏を取る

「裏を取る」という言葉、皆さんも刑事ドラマなどで耳にしたことがあるのではないでしょうか。その情報が本当かどうか、複数のニュースソースにあたり、できれば実際に自分で現場を見たり話を聞いたりして、確かめる習慣をつけましょう。

 

国や研究機関が発表しているデータを使う場合は、必ず元のデータを確認しましょう。「分かりやすくまとまっているから」と、他のサイトから「孫引き(引用されたデータをさらに引用すること)」した文章を時々目にしますが、情報が不正確になりがちです。

公的な白書や調査結果の多くはサイト上で無料公開されていますから、手間を惜しまず原典を確認することで、書き手としての信頼性も高まります。

 

3)監修をつける

文章の内容が専門的で、自身が公的資格を持っていない場合、健康記事なら医師、栄養に関する記事なら管理栄養士など、その道で専門資格を持つ「先生」に原稿を確認してもらうことで、より文章の正確さを高めることができます。もちろん、その場合も、自分自身で信頼できるソースにあたり、可能な限りの調査をした上で書くことが前提になります。

 

数千円以上の監修料がかかるというのが難点ですが、専門家のお墨付きをもらうことで、記事の信頼性を高める効果もあります。

 

4)体験談にする

特定の物事に対して、自分の意見を表明したいときによくプロが使う裏技が、断定口調を避けて「体験談にする」ことです。

 

健康食品や化粧品のCMで、画面に「個人の体験に基づく証言です」とテロップが流れることがありますよね。あくまで「個人的な意見」として発信すれば、信じるか信じないかの判断は受け手に委ねられることになります。

 

ただし、この手法を使う場合も、前項までに述べたポイントを確認し、情報には正確を期しましょう。個人の意見だからと言って、人を傷つけていいということにはなりません。あらゆる立場の人の目にとまる可能性があることを肝に銘じ、バランスのとれた内容を心がけましょう。

 

5)身近な人に読んでもらう

その文章がわかりやすく真意を伝えているか、誤解させるような書き方はしていないか、書いた本人には実は分かりにくいものです。

 

編集者がいる場合は、適切なフィードバックをしてくれますが、自分のブログ記事などでは、ノーチェックのまま公開されることになります。書き上げたらすぐに原稿をアップするのではなく、ひと呼吸置いて読み返し、一度身近な人に読んでもらった上で、率直な意見をもらうのがおすすめです。

 

文/ライター 曽田照子

 

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