フリーランスという働き方の魅力や可能性についてお話ししていると、
「フリーランス時代の失敗談や苦労話を聞かせてください」
よく聞かれます。

 

もちろん、あります。今日はそんな私の「しくじり体験」について書きたいと思います。
これから、フリーランスになる方に少しでもご参考になれば嬉しいです。

 

私がそのお仕事の依頼を受けたのはフリーランスになって
半年ほどたったころのことでした。

知人経由で、ある文化人の方の書籍制作のライティングを
依頼されました。

 

口述筆記といって、フリーランスのライターの仕事として
よくあるパターンの一つです。

著者である方が話された内容をライターが取材し、構成・執筆して
1冊の本にしていくんですね。

 

1回2時間程度の取材を8回ほどしたころでしたでしょうか。

担当編集の方から、「書籍制作の話自体がなくなってしまったので、
申し訳ありませんが、この話はなかったことにしてください」という
連絡が入りました。

 

プロジェクトの「空中分解」というやつです。

どうやら編集の方と、文化人の方のマネジャーさんとの間で
制作方針に齟齬が生じ、書籍出版の話自体がなくなってしまったとのことでした。

 

とはいえ、すでに3カ月近くプロジェクトに携わっていましたし、
実際の取材時間だけでなく
打ち合わせや移動時間も含めると、かなりの時間を使っていたので、
例えば交通費だけでも支給いただけないかと私は編集の方に
ご相談してみました。しかし、「プロジェクト自体がなくなってしまっているので、
そういうことは難しいです・・・」と苦しいお返事がかえってくるばかりでした。

切ない結果ではありましたが、「これも『勉強代』と思って、
次の仕事へ生かそう」となんとか気持ちを切り替えるしかありませんでした。

 

さて、この体験談を通じて、私は何点か反省すべきポイントがあります。

 

1) 報酬や条件を事前に確認しなかった

実は私はこの仕事を受ける際に、報酬や条件面をまったく確認していませんでした。

フリーランスの方とお話ししているとよくあることですが、
知り合い経由で仕事を受ける場合、
細かい条件を最初に詰めるのは気が引けるといって
確認しない方が少なくありません。
私もそうでした。

 

現在、私たちがフリーランス人材の方と
企業とのプロジェクト型ワークのマッチングを行う際は、
「業務委託契約書」と「発注書」というものを必ず取り交わします。

その中で、報酬はいくらで、納期はいつで、
経費を誰が持つのか、交通費の扱いはどうするのかなど、
プロジェクト進捗にあたっての細かな条件を事前に取り決めます。

 

この事前の「握り」をしっかりしておかないと、
私の場合のように仮にプロジェクト自体がなくなってしまった場合に
支払いがどうなるのか・・・話し合うことすらできません。

 

2) プロジェクト期間や概要を確認しなかった

報酬や条件面だけでなく、私はこのプロジェクトの全体像(どれくらい取材をして
いつごろ出版予定なのか・・・等)を把握せず
仕事を二つ返事で引き受けてしまっていました。

 

1冊の書籍を制作するのに
1回2時間程度の取材を8回ほどして・・・という話を出版業の方に
話すと、「取材回数が多いですね」と言われます。

ケースバイケースではありますが、
2時間程度の取材3~4回で制作してしまうことが珍しくないからです。

 

推測ですが、出版社さんと文化人の方のマネジャーさんとの間で
当初からフィットしない部分があったのではないかと思うのです。

それで、必然的に取材回数が増えていったような印象も受けます。

 

私自身、主体的にプロジェクトの全体像を把握しないままに、
言われるがままに取材をしていたところがありました。

もう少し前の段階で、全体像を把握し、
積極的に周囲に相談するようなことができなかったものかと思います。

 

フリーランスは、いつ、どこで、誰と、どんな仕事をするのか――
自由に自分の意思で選び取ることができます。

だからこそ、人任せにしない自律的な姿勢が必要です。

 

駆け出しフリーランスの私はそれに欠けていたなぁと
今は思います。

 

仕事を始める前に、極力、全体像を把握し、
自身への期待値を確認すること。

報酬を含めて諸条件をしっかり確認し、
疑問や不安があれば、率直に依頼主に伝えて、
必要あれば交渉すること。

 

こうした確認や交渉が難しければ、
フリーランスへ仕事を紹介する各種サービスを活用するのも手です。

むしろ、フリーランスにとっての
エージェントの介在価値はそこにあると思います。

 

新しい働き方だからこそ、自分の身の守り方も、
仕事の進め方も未知数。

周囲の助けを借りつつ、自分の道を切り拓いていきたいですね。

田中美和プロフィールPH

株式会社Waris共同代表・キャリアカウンセラー 田中美和

日経ホーム出版社・日経BP社で約10年編集記者。特に雑誌「日経ウーマン」で女性のキャリアを広く取材。調査・取材で接してきた働く女性はのべ3万人以上。女性が自分らしく働き続けるためのサポートを行うべく2012年退職。フリーランスを経て、2013年ハイスキル女性と企業とのフレキシブルなお仕事マッチングを行う株式会社Warisを共同設立。共同代表。著書に「普通の会社員がフリーランスで稼ぐ」がある。
http://waris.co.jp

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